新年を祝うヨーロッパ伝統のお菓子・王様のケーキ
ガレット・デ・ロア
1月6日、ヨーロッパでは公現祭と言うキリスト教のお祝いをします。公現祭とは、東方の三博士がお祝いを持ってイエス・キリストの元にたどり着いた日のこと。待降節(たいこうせつ)から始まったヨーロッパのクリスマス期間が、この公現祭の日でようやく終わりを迎えます。
そしてヨーロッパの国々では、この日に家族や友人が集まり、王様のケーキと呼ばれるお菓子を切り分け新年を祝います。12月から飾っていたクリスマスツリーはこの日に片づけるのが習わし。翌日には不要になったクリスマスツリーが家の前に出され、回収されるのを待つことになるのですが、この光景はまるで日本の松の内が明けたかのようですよ!
■王様のケーキ、ガレット・デ・ロア
フェーブが当たった人は紙の王冠をかぶります。
王様のお菓子の中で最も有名な物は、フランス北部のガレット・デ・ロアです。ガレット・デ・ロアの中にはアーモンドクリームとフェーブと呼ばれる小さな陶器の人形が入っており、切り分けたパイの中にフェーブが入っていた人はその日一日紙でできた王冠をかぶり、王様・女王様になれるのです。また、フェーブが当たった人はその一年が良い年になると言われ、みんなから祝福を受けるのです。
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ヨーロッパ各国にある王様のケーキ
ポルトガルのボーロ・レイ
王様のケーキにはパンのようなタイプもあり、歴史的にはこちらの方が古いそうです。南仏やノルマンディー地方では、ブリオッシュ生地のパン・デ・ロアを食べます。スペインやポルトガルにも同じようなお菓子があり、ロスコン・デ・レイエス(スペイン)、ボーロ・レイ(ポルトガル)と呼ばれます。ドイツではパウンドケーキ風の王様のケーキ・ケーニッヒクーヘンを食べます。どの国も共通しているのは、王様のケーキと言う名前、ドライフルーツ、ナッツ、砂糖漬けのフルーツが入った円形のお菓子、紙の王冠かフェーブがついていることでした。
大人気! 世界中にいるフェーブコレクター
いろいろなフェーブ
ガレット・デ・ロアの中にはフェーブと呼ばれる人形が入っています。フェーブはフランス語で豆と言う意味で、本来はお菓子の中に豆を入れて焼いていたそうです。それが後々に進化して今は陶器や金属製の人形となりました。
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フェーブの種類
フェーブは種類の多さとその可愛らしさで、世界中に多くのコレクターがいます。フランスでは人気のケーキ屋兼パン屋が毎年オリジナルのフェーブを製造・販売するので、毎年必ず購入している人が沢山います。フェーブはキリストの誕生を表した宗教的な物、ガレット・デ・ロア、王冠、建物、食べ物など色々あります。スーパーマーケットでは大量生産されたガレット・デ・ロアが販売され、その年の人気の映画やキャラクターのフェーブが入っていました。蚤の市でも、昔の貴重なフェーブが売られていることもあります。
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王冠も個性的です
王冠の種類も豊富です。
有名店は毎年年末にフェーブと王冠のデザインを発表します。中にはオリジナルな王冠を作っているお店もあるのでチェックしてみてください。ガレット・デ・ロアは日本にも広まってきているので、ぜひ家族や友人とヨーロッパ流に新年を祝ってみてくださいね。
チョコレート風味のガレット・デ・ロアを作ってみましょう!
チョコレート風味のガレット・デ・ロア
一般的なガレットデロアの中身はクレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)です。しかし、アーモンドクリームは味や食感が独特なので好き嫌いが分かれるようなので、今回はフランスでも人気があるチョコレート風味のガレットデロアを作ってみました。チョコレートを入れると食感が滑らかになり食べやすくなりますよ。
■材料
アーモンドパウダー65g、チョコレート(カカオ含量が多い物)65g、粉砂糖40g、バター40g、卵1個、パイシート(18cm×18cm)2枚、艶出し用の卵黄1個、乳清小さじ1、フェーブ代わりの白い豆1粒、紙の王冠
下準備をします。
1.バター、卵は常温に戻しておきます。 卵はよく溶きほぐしておきます。チョコレートは湯煎で溶かしておきます。
バターに砂糖を加えます。
2.バターに砂糖を加え、よく混ぜ合わせます。
玉ができても大丈夫です。
3.バターに卵を3~4回に分けて加え、よく混ぜ合わせます。少しぐらい玉になっても大丈夫です。
アーモンドを加えると玉がなくなります。
4.卵にアーモンドパウダーを加え、よく混ぜ合わせます。
溶かしたチョコレートを加えます。
5.アーモンドクリームに溶かしたチョコレートを加え、よく混ぜ合わせます。アーモンドクリームの出来上がりです。
四角いパイシートを丸く切ります。
6. 市販のパイシートは2枚とも角を丸く切り、麺棒で少し伸ばします。
麦の穂のデザインです。
7.1枚のパイにナイフで模様を描きます。模様は色々あるのですが、今回は一番簡単な麦の穂のデザインにしました。
パイの切れ端で王冠を作り、パイに飾りました。
8.今回は子ども向けに仕上げるため、パイの切り端で王冠を作り、パイの上に乗せて焼きました。
中央にクリームをのせ、周りには水をぬります。
9.模様を描いていないパイの上に、アーモンドクリームをのせます。パイ同士が離れないようにクリームの周囲には水をぬっておきます。
フェーブか白い豆をのせます。
10.アーモンドクリームに白い豆(生)を隠します。アーモンドクリームが茶色いので白い豆の方が見つけやすいです。豆は中央より端の方に隠しましょう。
*フェーブの誤飲を防止するために、本物の豆を入れています!
パイの端を内側に折り込みます。
11.アーモンドクリームの上に、模様を描いたパイを上にかぶせます。パイの端は内側に折り込んでください。
卵に乳清を加えると焼き上がりがパリッとします。
12.卵黄にヨーグルトの乳清を加え、パイの表面に塗ります。乳清を加えるとパイがパリッと焼き上がりますよ。
焼き色が着くまでしっかりと焼きます。
13.200℃のオーブンで40分焼きます。オーブンによって温度や焼き時間は調整してください。
ガレット・デ・ロアの正式な楽しみ方
どんなフェーブが当たるかな?
ガレット・デ・ロアが焼けたら、みんなでガレット・デ・ロアを楽しんでみましょう。紙の王冠は製菓材料店でも買えますが、画用紙で手作りしても良いでしょう。フェーブが当たった人はその年一年、とても幸せに暮らせると言われているので、ぜひ素敵なフェーブを当ててくださいね。(*今回は誤飲を防ぐため、ガレット・デ・ロアの中には本物の豆を入れています。豆が当たった人は豆とフェーブを交換してください)。
■ガレット・デ・ロアの楽しみ方
- グループの中で一番小さな子どもがテーブルの下にもぐり、他の人は全員席に着きます。
- 大人がガレット・デ・ロアを人数分に切り分けます。
- 大人がテーブルの下の子どもに、「これは誰の分?」などと質問をします。
- テーブルの下の子どもは「お父さんの!」「お兄ちゃんの!」と食べる人を指名します。
- ガレット・デ・ロアが全員に行き渡ったら、みんなでいただきます。
- ガレット・デ・ロアの中からフェーブ(豆)が出てきた人は、王様、女王様になり王冠をかぶりましょう。
白い豆が出てきた人が王様・女王様です。
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