脳の神経細胞機能改善も
IGF-1はメンタルストレスの軽減にも関連が
さらに、年約3万人以上といわれる自殺者のうち、うつ病が原因と判明した人は2010年に7000人を超えています。あるいは、皆さんの周りにもうつ病に悩み、休職、転職を余儀なくされている方がいるかもしれません。
この深刻で身近な心の病・うつ病の予防にも、IGF-1は関連があることがわかっています。というのは、IGF-1には毛母細胞の成長を促すだけでなく、脳の認知機能を担う神経細胞の機能改善、再生を促す働きもあるからなのです。
私たちはかつて、薄毛改善の効果を研究するため、複数の被験者にカプサイシンとイソフラボンを同時摂取してもらう実験を行いました。そのなかには抑うつ症状をもっている方が5名混じっていたのですが、実験を開始して5ヵ月後、その5名の抑うつ症状が改善していることがわかったのです。また、カプサイシンの投与でIGF-1が増えたマウスは、認知機能が改善したことも判明しました。
モチベーション向上に役立つ、IGF-1の働きの数々
IGF-1は、他にもまだメリットとなる作用をもっています。簡単にまとめておきましょう。- ビタミンがもたらす作用をもっている……ビタミンCやEの抗酸化作用、ビタミンDの骨密度を上げる作用、ビタミンB1の心臓の動きを高める作用、ビタミンAの目の粘膜である角膜と結膜を保護する作用などがある。
- 血圧を下げる作用……血管を拡張させて血液循環をスムーズにし、心臓疾患ほか、生活習慣病予防に期待できる
- ナチュラルキラー細胞の活性化……インフルエンザウイルスなどの外敵から身体を守る白血球の中には、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれる免疫細胞がある。実は、人間の体内では毎日のようにがん細胞が発生しているが、ほとんどの人が発症しないのは、このNK細胞が排除してくれるおかげ。IGF-1には、このNK細胞を活性化する働きがある。