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ドラクエを無料で100万人に配るわけ(2ページ目)

ドラゴンクエストが無料でダウンロードできてしまう、そんな驚きのニュースがありました。スクウェア・エニックスはiOSやAndroid向けに通常は500円の「ドラゴンクエストI」のゲームアプリを100万人限定で無料配信しています。なんでそんなに大盤振る舞いをしているのでしょうか?

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ドラクエ情報を伝えるアプリ

スマートフォンを使っている人の図

ドラゴンクエストポータルアプリから、次々にドラクエ情報が送られてきます。

ポータルサイトってよく言いますよね。ポータルってどんな意味でしょう? ポート、は港です。港は海の玄関ですよね。なので、ポータルというのは玄関とか、入り口という意味で、インターネットの世界では様々なコンテンツへユーザーを誘導していく入り口となるサイトをポータルサイトと言います。つまり、ドラゴンクエストポータルアプリは、ドラクエ関係のコンテンツの入り口となるアプリ、ということです。

ドラゴンクエストポータルアプリを起動すると、既にドラクエ関係のニュースがたくさん配信されています。ドラクエの楽曲配信のお知らせ、ニコニコ動画のドラクエ番組、ドラクエグッズの新作告知。スクウェア・エニックスが運営するドラクエポータルサイトの「ドラクエ・パラダイス」とほぼ同内容のものを配信している模様です。

ドラゴンクエストポータルアプリは、他のアプリと同様に、プッシュ通知をすることもできます。このプッシュ通知をユーザーが許可すると、アプリを起動していない状態でも、ドラクエのニュースなどの情報を、ユーザーに告知することができます。

つまりスクウェア・エニックスは、ドラクエポータルアプリをダウンロードしてもらうことによって、今後ドラクエ関連情報を、各ユーザーのスマートフォンに直接宣伝できるチャンスを獲得するんですね。そのためなら、大盤振る舞いしたってやる価値はある、ということです。

スマートフォン時代のマーケティング

パズル&ドラゴンズの図

パズドラの成功は、ゲーム業界に大きな影響を及ぼしました。

フィーチャーフォン、いわゆる携帯電話の時代のソーシャルゲームにおいては、マーケティングの重要拠点はSNSにあります。GREEやモバゲーが囲い込んだユーザーにゲームを遊んでもらう仕組みです。

それがスマートフォンに移行していく過程で、SNSを介さずにヒットしたガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」の影響もあって、GREEやモバゲーに依存しない方法論を各メーカーが模索している流れがあります。

そうなると、次に重要拠点になるのはどこなのか。間違いなく言えるのは、アプリ配信サービスであるApp StoreやGoogl Playです。ランキングで上位をとるなど、この場で存在感を示せたアプリは確実に数字が伸びていきます。逆に埋もれてしまうと、中々数字は上がりません。

実はもう1箇所あります。それが、各ユーザーが持つスマートフォンのアプリです。ヒットしたアプリというのは、ユーザーがたくさんアクセスしているメディアでもありますから、アプリを使って別のアプリを宣伝する、という構造が生まれます。

ドラクエIの無料配信によるドラゴンクエストポータルアプリのダウンロード促進は、その両方をいっぺんに獲得する作戦です。
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