男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

黒の靴クリームの「色」を 深く考えてみる その2

前回に引き続き、黒の乳化性靴クリームの「色」について、製品ごとに特徴を解説してまいります。今回は前回ご紹介したものの進化・発展形と考えられるものの2つです!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

2. M.Mowbray Prestigio Cream Naturaleの黒

M.Mowbray Prestigio Cream Naturale Black

M.Mowbray Prestigio Cream Naturaleの黒は、前回ご紹介したM.Mowbrayシュークリームの黒に比べ、より自然で透明感に富んだグレイ系。光沢も瑞々しく革の地肌を活かした仕上がりになります。

前回から始まった、皆さんが当たり前に使っている色付きの乳化性靴クリームの「色」をチェックするシリーズ。最初に採り上げた大定番・M.Mowbrayの黒(以下、「モゥブレィの黒」と記します)が、真っ黒ではなくダークグレイだったのに驚かれた方も多いのではないでしょうか。でもそれは、色付けに様々な色素を用いている証拠であって(学校の美術の授業で絵の具の混色を教わった経験のある方ならご理解頂けるでしょう)、その方が平板な真っ黒よりも黒の靴の表情に立体感を与えることが可能だからです。

ではその進化版かつ高級バージョンとして2011年の秋に登場したM.Mowbray Prestigio Cream Naturaleの黒はどうなのかと言うと、それが上の写真。同系列の商品らしく、やはり黒ではなくグレイですが、モゥブレィの黒に比べ青味が更に少なく、僅かに青味・緑味を帯びた尖り感の少ないグレイ、という印象です。また、それに比べ色の濃さは変わらないものの抜けが良い、つまり色の出方に平板な感覚が減じ光沢に透明感、それに瑞々しさが増している感も受けます。

紙に塗る際もモゥブレィの黒に比べ抵抗感が一層少なく、文字通りスムースに伸びて行くのは驚きです。ただし、ビシャビシャと取り留めもなく浸み込んでしまうのではなく、手先で十分コントロールでき、サラサラと細かくかつ穏やかに浸透します。一言で申せば、人工的な有機溶剤を用いていないだけのことはある、そして2千円+税の価格だけの価値が十分にある正に自然な色出しで、派手過ぎず心地良い香りも含め扱いが容易な靴クリームの筆頭だと思います。

最近出た「あれ」はどうでしょうか? 次のページでご紹介!
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