内定式後の過ごし方とは?入社することだけが「就活の目的」ではない
内定式後の過ごし方とは?
そして文書や口頭のみだった「内定」が、本当にその企業への入社切符であることを実感するのが10月初旬に行われる「内定式」だ。実際には内定式を行う企業とそうでない企業があるのだが、一般的には同じ年に入社予定の同期が集まり、人事部長や社長から正式な内定付与やお祝いの言葉を受ける。会社によっては懇親会のような場も設けてくださり、学生にとっては「本当に就活を終えたのだ」という実感を持つ。
毎年10月に行われる内定式で多くの就活生は「内定者」としての自覚を持つ
私は就職活動中の学生を支援しているだけではなく、毎年企業の「内定者研修」や入社後の「新入社員研修」という名の研修を企業から依頼され講師として研修を実施している。しかし、なぜ毎年多くの企業がプロに依頼をして、多額の費用をかけて研修をするのかと言えば、それは一言で言うと「学生気分の払拭」が目的だ。
多くの就活を終えた学生は、内定を得たことに安心してしまい、結局もとの「学生ペースの生活」に戻ってしまうことが多い。もちろん残りの学生生活を満喫するのは大切なことだが、それでまた社会とのギャップが出来てしまっては入社後の自分のためにならない。
就職活動とは「企業に入るための活動」ではなく、「企業に入ってイキイキと働くための準備」なのだ。その中で「どこの企業で働くか」を決めるプロセス終わっただけで、本当の準備はこれからなのだ。
「今しか出来ないこと」と「入社後の準備」のバランス
私が学生時代に内定を得たときはちょうどアメリカにいたので、内定式というものには出ることが出来なかった。その代り、内定から数週間後にアメリカの自分の住んでいる寮に5冊ほど分厚い本が送られてきた。入社予定だった会社がアクセンチュアというIT系のコンサルティング会社だったので、ロジカルシンキングの本であったり、プログラミングに関する本であったり、入社後に必要になる知識が学べる書籍が入っていた。かなりの重さだったので、きっと書籍代よりも送料の方が高かったような気がする。とても申し訳ない気持ちと感謝の気持ちがこみ上げたのを覚えている。
だから内定者時代はその5冊を使って徹底的に勉強した。それだけではなく、自分は教育学部だったのでIT系の授業は必須ではなかったが、たまたま授業のスケジュールが合ったのでプログラミングの入門編のクラスも取ってみた。周りは情報系の学生ばかりだったが、やってみると面白く、結構頑張って成績もAが取れた。
この経験は大きく、入社後の研修では周りは国内の有名大学出身者が多かったが、研修では私がグループのメンバーに指導する機会も多かった。ITに関してはまったく無知な自分ではあったが、それでも自信を持って社会人をスタートさせることが出来たのは、学生時代の準備があったからだと思う。
しかし、入社後の準備だけをして、人生最後の学生時代を謳歌せず終わるのはもったいない。やはり「学生時代にしか出来ないこと」を思いっきりやっておくことも、社会に出た後に悔いなく仕事に集中するためには大切なことだ。
私の場合は卒業最後の学期は、今まで住んでいたキャンパス内の寮を出て近くの町に一人暮らしをした。たった半年間ではあったが、自分で車を買い、毎日自炊をして、キャンパスだけでなく実際の住民の日常生活に触れることが出来たのも大きな経験となった。
きっと一生海外で一人暮らしするチャンスはないと思って、思い切ってチャレンジした。
就職活動は企業から内定をもらうためだけの活動ではない。
今からすべきことは、自分が本当に入社してイキイキと働けるように、入社後の準備と、学生生活に悔いが残らないように本気で今の生活を全力で楽しむことだ。
多くの内定者には、それをぜひ内定式をきっかけにして始めてほしい。
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