宅地建物取引業法詳説〔売買編〕の第18回は、第36条(契約締結等の時期の制限)についてみていくことにしましょう。

 (契約締結等の時期の制限)
第36条  宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項 又は第二項 の許可、建築基準法第六条第一項 の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。

許可を受ける前は広告も契約もダメ!

都市計画法による開発許可を受ける前の造成宅地や、建築基準法による建築確認を受ける前の新築建物などについては、宅地建物取引業法第33条によって広告をすることが禁止されています。そして広告と同様に売買契約などをすることも、この第36条により禁止されています(許可不要のものを除く)。

これは中古住宅で、建築確認を必要とする規模の増改築や、大規模の修繕・模様替えを行なったうえで販売をするときも同じで、それらに関する建築確認を受けた後でなければ、売買契約を締結することができません。

また、売買契約を締結することができないのは、宅地建物取引業者が売主となる場合だけでなく、売主を代理する場合、売主が個人や一般法人でその媒介をする場合なども含まれます。

なお、売買契約締結前に許可を要するものとして、第33条による「広告の開始時期の制限」と同様に、全部で33種類の法律が政令により指定されています。ただし、都市計画法、建築基準法以外で比較的該当ケースが多いのは、土地区画整理法宅地造成等規制法ぐらいです。農地法による宅地転用許可などが該当する場合もあります。

ちなみに市街化区域内の農地を宅地に転用する目的で売買するときなどは、許可ではなく「届出」で済みますが、この場合の届出も売買契約締結前に行なうべきであるとの見解が、旧建設省により示されています。

設計変更の場合には?

いったん建築確認を受けた後、設計の変更などにより「変更の確認」が必要となる場合もあります。このような場合には、変更後の建築工事を前提として売買するかぎり、「変更の確認」を受けた後でなければ契約を締結することができません。

ただし、新築マンションなどの場合には、売買対象の住戸とは異なる住戸(専有部分)の変更であれば、その「変更の確認」を受ける前の契約締結が認められています。また、共用部分の変更で、それが構造上主要な部分の変更ではなく、変更の程度が著しくない場合にも、「変更の確認」前の契約締結ができることになっています。“著しくない”の基準が曖昧ですが…。

さらに、建売住宅における「セレクトプラン」や、マンションにおける「スケルトン・インフィル」などの販売方式で、購入者の希望に応じた内容に基づいて「変更の確認」を受けるような場合には、停止条件付契約とすることなどによって消費者保護を図れば、「変更の確認」前の契約締結ができます。

この場合の「停止条件」とは、「変更の確認」を受けられた場合は契約が有効で、受けられなかった場合には契約がはじめからなかったものとする、という内容になります。

なお、第36条で禁止されているのは「工事の完了前においては」と書かれているとおり、未完成物件の場合の売買契約締結に関するものです。無許可のまま工事が行なわれ、それが完了した物件の売買については制限されていません。

違法工事による宅地、あるいは違反建築物については、当然ながらその旨が重要事項として説明されますが、それを知ったうえで買うのは、消費者にも責任があるといったところでしょう。もちろん、宅地建物取引業法以外の法律で売主業者が処罰を受ける可能性や、宅地建物取引業者のモラルが問われる場合もあるでしょうね。

建築条件付土地売買の場合には?

建築条件付土地売買は、土地の売買契約と建物の建築工事請負契約とを別々に締結するものであり、建物の建築確認については第36条の制限と分けて考えなければなりません。通常であれば、建築工事請負契約を締結した後に、建築確認を申請することになります。もちろん、土地については必要な許可を受けてからでなければ売買契約を締結できませんが…。

ところが、土地の買主との間で建物のプランについて打ち合わせをすることもなく、あらかじめ決まっていた設計内容に基づく建築確認を、“土地の売買契約が終わってから”申請するようなケースがあります。

実質的には建売住宅でありながら、形式だけ「建築条件付土地売買」にしたもので、第36条に対する脱法行為の可能性もありますから、このような契約を要求された場合には十分に注意しなければなりません。

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