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見聞きする機会が増えた「違法貸しルーム」に「脱法ハウス」

「違法貸しルーム」に「脱法ハウス」――今春ごろから、こうした言葉を見聞きする機会が増えたように思います。

これらはオフィスや倉庫など、居住以外の用途に供していると称しながら、実際は建物の全部あるいは一部に間仕切り壁などを設置し、一定のプライバシーを確保しながら独立・区画されたスペースを整備した建築物をいいます。

あるいは、居住目的で建築されたマンションの1住戸や戸建てを改修して簡単な壁で小さな空間に区切り、入居者の募集を行って各空間スペースを多数の人に貸し出す物件(建築物)も散見されています。

事態を重く見た国土交通省は状況把握に動き出しており、9月25日に「違法貸しルーム」の状況(8月30日時点)を公表しました(下表参照)。それによると、該当性があるとして調査対象となった730物件のうち、「建築基準法違反があり、是正指導中の物件」は154件。さらに、「是正指導準備中の物件」(37件)を含めるとその数は191件に達し、調査対象物件(730件)の4件に1件(約26%)が建築基準法違反であることが判明しています。

「違法貸しルーム」の是正指導などの状況

 

(※)調査開始時点で施設が閉鎖されていた物件、および調査によりその他の用途であることが明らかになった物件の数

公表された調査結果にはエリア別の状況も記載されており、「建築基準法違反があり、是正指導中の物件」(154件)を都府県別に見てみると、東京都が143件で全体の約93%を占め、次いで神奈川県が5件、埼玉県と大阪府がどちらも2件、千葉県と沖縄県がいずれも1件となっています。

さらに、東京都内の区市別にも調査結果がまとめられており、「建築基準法違反があり、是正指導中の物件」(154件)は北区が20件でワーストワン。次いで新宿区が19件、荒川区が14件、中央区と練馬区がどちらも12件、港区が10件、江東区が8件などとなっています。いまだ506件は調査中ですので、その数が増える(悪化する)のは想像に難しくありません。

採光のための窓や防火対策がなされないと、法律上、「居室」とは認められない 

ここで、改めて「なぜ違法なのか?」を確認しておくと、上述した「貸しルーム」は特定の居住者が寝食するなどの居住を“本来”の目的とした独立空間のため、こうした区画は建築基準法上、「居室」として扱われます。

「居室」であるためには、たとえば窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積を居室の床面積の7分の1以上確保する必要があります。また、火災発生時の燃え広がりを防ぐための間仕切り壁の規定などもあり、東京都の定める安全条例では共同住宅の場合、居室の最低面積を7平方メートル(約4.3畳)と規定します。こうした条件を満たさないことが「違法」なのです。

「違法貸しルーム」や「脱法ハウス」問題は、一見すると分譲マンションとは無関係に思われますが、油断は大敵、万が一に備えておく必要があります。事態が起こってからでは手遅れなのです。

そこで、次ページではマンションの区分所有者や管理組合に対する注意点とアドバイスを紹介します。