企業のIT活用/会計/確定申告・青色申告

自力(エクセル)で消費増税に対応はできる?(2ページ目)

2014年4月、いよいよ消費税増税が迫ってきました。現状、エクセルを活用し自力で消費税計算している事業者もいるでしょうが、結論から言えば消費税増税前に会計ソフトを導入して活用する方がだんぜん楽です。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

エクセルで2014年3月~4月の計算するのは大変

税務署への納税額が増えないよう2014年3月は在庫のコントロールが必要

税務署への納税額が増えないよう2014年3月は在庫のコントロールが必要

3月までに仕入れたものは5%の消費税ですが、4月以降に売る場合は8%で売らなければなりません。

税抜価格が100円の商品を3月末までに仕入れると税込価格は105円になり4月以降に150円で販売すると消費税は8%で12円になります。この場合、納める消費税は「12円-5円=7円」。仕入が8%であれば「12円-8円=4円」ですみます。5%で仕入れた在庫が多ければ、仕入税額控除が少なくなり、その分、税務署への納税額が増えます。2014年3月は在庫のコントロールが必要となります。

エクセルなら消費税という名前をつけたセルに5%と入れて計算しますが、3月~4月にかけては2つのセルを使い、if文を駆使して計算しなければなりません。例えば支払を20日締めにしている場合、4月20日締めの支払では3月21日から3月31日分は5%、4月1日から4月20日分は8%と混在することになります。

エクセルでやってやれないことはありませんが、if文で取引年月日を判断する式を入れなければなりません。会計ソフトなら年月を判断して消費税を自動計算してくれます。

10%になって軽減税率が導入されたらエクセルでは破綻

フランスではチョコレートは標準税率で板チョコはなぜか軽減税率

フランスではチョコレートは標準税率で板チョコはなぜか軽減税率

ヨーロッパでは食料品、住宅家賃、子供服、教育費、住宅など、生活に身近であったり政策的に推進する必要のあるものに対しては軽減税率が適用されています。

8%への消費税増税では軽減税率は適用されませんが10%引き上げの段階で低所得者の負担を軽減するため軽減税率の導入が検討されています。

この軽減税率ですが、これがけっこうやっかいで、ドイツでは贅沢品や外食などは標準税率になりますが、家に持ち帰って食べる場合は軽減税率が適用されます。ハンバーガ屋では店で食べる価格とテイクアウトの価格が異なり、テイクアウトすると軽減税率分が安くなります。フランスのチョコレートは標準税率ですが板チョコだけはなぜか軽減税率になっています。実際、軽減税率が適用されるとかなり複雑な計算が必要となり、エクセルでは対応はほぼ無理でしょう。

また軽減税率にあわせてインボイスの導入議論が巻き起こりそうです。インボイスとは送り状、納品書のことで取引の事実を証明する書類です。商品がメーカーから卸、小売りへと流通する過程で仕入先の発行するインボイスの提出が義務づけられます。インボイスには価格や消費税額が明記されますので、控除額が確認され、脱税や二重課税の防止に効果があります。現在、日本の消費税ではインボイスを必要としない帳簿方式が採用されています。

消費税増税に向けてインボイスだけでなくいろいろな法令改正が行われていくでしょう。法令改正をチェックしてエクセルの式やマクロプログラムを修正するのはかなり大変。法令改正に適応してくれる会計ソフトを早めに導入するのがおすすめです。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で企業経営関連の書籍を見るAmazon で企業経営関連の書籍を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます