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飲食店における消費増税の対応(2ページ目)

2014年4月1日、5%から8%への消費税増税が予定されています。お客さんを集客しないと売上がたたない飲食店業界には特に大きな影響をあたえます。税込300円の牛丼が310円になると価格に敏感な消費者の足が遠のきかねません。小規模なお店ほど消費税増税の影響を受けます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

商品の仕入時期でややこしいことになる

3月までにコース料理を予約しても飲食が4月なら消費税は8%

3月までにコース料理を予約しても飲食が4月なら消費税は8%になる場合は8%で計算

2014年3月31日までに5%で仕入れた商品を4月1日以降に売る時は8%で計算しないといけません。

飲食店の場合、材料を仕入れて調理してお客さんに提供する形が多いので、それほど問題にはなりませんが、例えばお店で出しているカレーをレトルトにして通販している場合は注意が必要。

3月末までに販売価格等の条件を提示して通販の申込みを受け、提示した条件で4月以降に商品を発送する場合、消費税は5%で計算します。楽天市場などモールに出店している場合はモールで対応しますが、自店のホームページでネットショップを開設している場合は3月31日に買い物カゴの消費税率を変更しなければなりません。

それよりもリアルのお店のメニューなどを全部変更しないといけませんのでそちらの作業が大変。断りを入れて3月末にネットショップの受付は閉鎖しておき、4月に入ってから再オープンすることも考えなければなりません。

飲食店で注意しなければならないのがコース料理の予約。3月までにお客さんがコース料理を予約しても実際に飲食を提供するのが4月以降になる場合は8%で計算することになります。トラブルにならないように事前にお客さんに説明しておかなければなりません。歓迎会や花見予約などで注意が必要です。

資金繰りに追われる毎日

月に1回、消費税を計算し、納税用の口座に預金をしておく

月に1回、消費税を計算し、納税用の口座に預金をしておく

消費税は本来、顧客から預った消費税と支払い時に仮払いした消費税の差額を計算して納める税金です。お店にとってはプラスもマイナスもありませんが、滞納されている税金の約半分は消費税というのが実態です。

消費税の計算には税込処理と税抜き処理があり、税抜き処理は手間がかかり面倒なため多くの飲食店では税込処理(消費税を別にする)を採用しています。

1日の売上が30,000円(内消費税1,428円)とあると、店主は28,572円ではなく30,000円をその日の売上と思いがち。本当は月に1回、消費税を計算し、納税用口座に預金して納税に備えればよいのですが大体は決算が終わってからあわてることになります。個人事業主であれば3月末までに、法人なら決算日以後2ヶ月以内に消費税の申告をしなければなりません。手持ち現金がないと滞納となってしまいます。

500円弁当への据え置きや276円均一のように身銭をきって値付けをすると、消費税の本来の目的であるお客さんからきちんと消費税を預けれないことになりますが、お客さんが来なければ店がつぶれてしまいますので背に腹はかえられません。

消費税5%で売上から諸経費をひいて計算した時の最終利益率が3%という商売をしていると8%になった時によくてトントン、資金繰りに失敗してしまえば閉店しなければなりません。

丼勘定では消費税増税に対応できそうもありません会計ソフトを導入し、消費税をはぶいた本来の売上はいくらなのか、消費税の納税額はどれぐらいなのか把握し、計数管理をしっかり行う必要があります。

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