パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

トシ オー クー デュ パン【都立大学】

パリのパン屋さんのように早朝6時から営業している、バゲットがおいしいパン屋さんが都立大学にオープンしました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

朝6時から開いているパン屋さん

朝6時から営業

朝6時から営業


2013年5月、東横線の都立大学駅に近い目黒通り沿いにオープンしたトシ オー クー デュ パン(Toshi Au Coeur du Pain)は朝6時から営業しています。朝食に焼きたてのパンを買うことができる時刻です。日本でこんなに朝早くから開いているパン屋さんは珍しい。8時までにはほとんどのパンが勢揃いするのだそうです。
川瀬敏綱さん

川瀬敏綱さん


店名の"Coeur"はハートのこと。トシさんこと川瀬敏綱さんが心をこめて焼くパンは、彼がフランスで修業をしていた時に「これこそがパンである」と感じたもの、すなわちバゲットが中心となっています。
奥にはひろい厨房

奥にはひろい厨房

 

トシ オー クー デュ パンの2種のバゲット

バゲットトラディション

バゲットトラディション


そのバゲットは2種類あります。「バゲット・トラディション」は修業先のパリ18区にあるオーデュック ドゥラシャペル(Au Duc de la Chapelle)のオーナーシェフでMOF(国家最優秀職人)のアニス・ブアブサさん直伝、低温長時間発酵のバゲット。この人は2008年のバゲットコンクールで優勝しています。なんてことを聞いたら、買わずにはいられないでしょう。

それはたしかに究めている人のバゲットらしく、食感よく香りよく、旨味を感じるものでした。材料には国産小麦を、風味づけにコーンフラワーとライ麦を用いています。しかし何より印象的だったのは、その価格が199円ということでした。
紙を巻いただけて持ちかえる近所の人も。

紙を巻いただけて持ちかえる近所の人も。


もうひとつのバゲットは、節約のため食費をかけられなかった修業時代、1日1本食べていた、1ユーロしない(100円ほど)で買えたバゲットを再現したもの。フランスでパンを食べて、日本のパンと最も違うと感じた点は「香りがしっかりとあって、甘ったるい味がしなかったこと」とトシさんは言います。バゲットについては、「日本でおいしいと言われているバゲットの基準より焼き方が白っぽくて、クラムの目は詰まっていてクリーム色でもなくて、これでいいの?という感じでした。でも毎日食べるうちに、なくてはならないものに。パンに対する自分の常識が覆されたんです」。
バゲット

バゲット


バゲットには日本製粉のフランス産小麦粉、メルヴェイユを100%使用。発酵には自家製ルヴァンリキッドも併用し、ゆっくりと発酵をとった後、短時間で焼き上げます。素材も製法も、フランスで食べていたパンの味や香りを模索し、試した結果です。そして驚くなかれ、このバゲットは168円です。

2種類のうち、初めて店を訪れた人はトラディションを、二度目に普通のバゲットを買う人が多いそうですが、わたしもそうでした。次に訪れたら普通のバゲットは必ず買います。これはトシさんのお店の看板商品です。
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