インテリア性だけでなく性能面も重視したい
空間のイメージや日々の使い勝手にも影響をおよぼす床材。新築やリフォームの際には、リビングや寝室など居室の床材はある程度イメージできても、水まわりの床材に関しては迷うケースも多くみられるようです。特に洗面室は、バスルームに隣接することも多く、脱衣室を兼ねたり、洗濯の場となることも多い空間。床材は、インテリア性はもちろんですが、性能面などに配慮しておくことも大切です。さまざまな素材があるので、メリットデメリットを理解した上で選ぶことがポイントでしょう。
心地の良い木の肌触りをシートで再現。凸凹がありながらも、汚れや傷やつきにくい。アンモニアに強い表面仕上げなので、トイレにも使用可能。[アーキスペックフロアー 木肌触感タイプ ナラ柄] パナソニック エコソリューションズ
洗面室に用いられる主な床材の種類と特徴
■フローリング 特殊な加工や表面材で性能もアップ木質フローリングには、むく材と複合(複層)フローリングがあります。むく材は、単層フローリングとも呼ばれ、単一のむく材でできたもの。複合(複層)フ ローリングは、合板(基材)の表面に化粧材を張り合わせたもので、用いる化粧材によって、薄く削った天然木の単板(突き板)を用いるタイプと、樹脂化粧シートなど特殊加工の化粧材を張ったタイプに分けることができます。
一般的な住宅の居室で多く用いられているのは、複合(複層)フローリングで、洗面室にも多く取り入れられている床材です。水まわりに適する複合フローリングは、塗装等の加工によって耐水性や汚れ防止、耐傷性などが高められたもの、洗剤や漂白剤などに耐えられる性能を持ったものなど。また、継ぎ目の溝に水がしみ込みにくい構造の商品や溝加工のない大判サイズのタイプなどもみられます。
複合フローリングは、素材や色、価格など商品バリエーションが豊富。大理石やタイルの風合いを持ったタイプもみられ、水まわり空間の清潔さとモダンな雰囲気を実現することができるでしょう。リフォームで取り入れやすい商品も増えてきました。
また、ナチュラルな空間を生み出すことができるむく材は、一般的に、水などが染み込みやすく、こまめにお手入れを行う必要はありますが、素材の持つ風合いや足触りの良さは大きな魅力でしょう。
表面が濡れていても滑りにくく、 水や汚れが浸透しにくいためお手入れも簡単。 [洗面専用フローリング スリップケア] DAIKEN
塩化ビニールを用いた長尺(ロールシート状)の床材で、CF(シート)と呼ばれることも。耐水性に優れ、汚れも付きにくく落しやすいので、洗面などの水まわりに多く用いられています。適度な弾力性あるのがメリット。手ごろな価格から揃い、施工が比較的簡単なため、リフォーム時はもちろんDIYで張り替えることも可能です。
従来に比べ高級感のある商品も増え、色や柄などのバリエーションも豊富。フローリングや大理石、タイルを模したものなども揃っていますし、抗菌や防カビ、消臭機能を持つタイプなどもみられます。ただ、足触りは好みが分かれるところでしょうし、商品によっては濡れていると滑ったり、施工の仕方次第では接着部分が浮いてくることもあるので注意が必要でしょう。
■Pタイル(プラスチックタイル) 塩化ビニル樹脂などを用いたタイル状の素材
塩化ビニル樹脂などを用いて、タイル状に加工した床材。色や柄のバリエーションも豊富です。比較的堅く、耐久性や耐磨耗性、耐薬品性に優れています。
■タイル 豊富な商品が揃いインテリア性もアップする
耐久性、耐水性が高く、拭くだけで簡単に掃除ができるのも魅力。色やデザインなども豊富に揃っています。目地の汚れや足触りの冷たさや堅さ、滑りやすさなどに注意が必要ですが、大型のタイルを用いて目地を少なくしたり、色目地を用いるなどして、汚れを防ぐことも可能。バスルームでタイルを用いるのであれば、同じシリーズや色を揃え取り入れることで、空間に広がりが生まれるでしょう。
個性的な空間づくりが可能なタイル。大きめのタイプを用いてモダンな空間に。[システムドレッサー エスクア] TOTO
コルク樫の樹皮を原料とした圧縮成形した木質系の床材。コルクを粒状にし焼き固めたもので、タイル状のもの(コルクタイル)だけでなく、コルクフローリングとした商品も。表面の仕上げや加工を施し、水や汚れに強いタイプも揃っています。堅牢で耐久性に優れ、断熱性も高いのが特徴。適度な弾力性があるので、足腰への負担も少なく、万一転倒しても衝撃が緩和されるというのもメリットでしょう。
■天然繊維(ココヤシ・麻など) 独特の風合いが魅力の自然の素材
ココヤシの繊維は、リグニンが多く含まれたセルロースの繊維。丈夫で水に強く、腐りにくく、カビも生えにくのが特徴です。サイザル麻は、耐久性や断熱性、調湿性などに優れ、汚れや水に強い素材。いずれも、ざっくりとした独特の風合いで、色味だけでなく、織り方にも変化を持たせた商品がみられます。
清潔さを保つためには掃除やお手入れがしやすい素材を
洗面や脱衣室の床材としては、まず、清潔さを保つことができる、掃除のしやすい素材を選ぶことが基本。また、お風呂上がりに身体を拭いたり、洗濯機を設置することを考えれば、耐水性が必要なのはもちろん、洗剤や化粧品などを使用することも多いので耐薬品性などへの配慮も必要です。その他、美しさを保つためには耐傷性なども考慮しておきたいポイントですし、脱衣の際など、素足で使用することも多いので足触りのいいもの、家族全員が安心して使用することができるうように、滑りにくくクッション性のあるものが適しているでしょう。
空間のつながり、明るさや心地よさも配慮して
汚れや傷がつきにくく、ワックスがけをしなくても美しさが長持ちする。耐水性に優れ、水まわりに適する床材。[アーキスペックフロアーA サニタリー用] パナソニック エコソリューションズ
最近では、廊下やリビングなどと揃え、水まわりにもフローリングを選ぶケースも多くみられます。表面などに加工を施すことで、洗面室などに適した性能を持たせたタイプも揃っているので、空間に合わせて取り入れることが可能でしょう。ただし、性能や風合いなどはメーカーや商品によって異なるので、カタログだけでなくショールームで実際に確認することが大切です。
使用方法、家族構成などに考慮し、優先順位を
さまざまな床材から、わが家の洗面室に適したものを選ぶためには、優先順位を明確にしておくこと。たとえば、「幼い子供がいるので、水でビショビショになることも。水に強いことが一番」とか、「高齢の家族でも滑りにくい温かみのある床にしたい」、「お客様も使用するのでインテリア性を重視」など、使用方法や家族構成、ライフスタイルなどを考慮して、何を優先させるのかを事前に整理しておくことも大切なポイントでしょう。【関連記事】
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