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橋口亮輔監督最新作『ゼンタイ』(2ページ目)

橋口亮輔監督の新作映画『ゼンタイ』が、8月31日(土)からテアトル新宿で公開されます。特にゲイ映画というわけではありませんが、ゲイ的にはわりとなじみやすい世界でもあり、深い癒しを得られる作品だと思います。ぜひご覧ください!

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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橋口亮輔監督とは

まず、橋口亮輔監督の簡単なプロフィールをお伝えしましょう。

1989年、ぴあフィルムフェスティバルに出品した『夕辺の秘密』がPFFアワードグランプリを受賞。その後TV局でのアシスタントディレクターをつとめるなどして、1992年にPFFスカラシップを得て映画撮影を再開します。

そして1993年、ウリ専(男性のセックスワーカー)のバイトをする学生を主人公とした『二十才の微熱』を発表(主演は袴田吉彦さん)し、劇場記録を塗り替えるほどの大ヒットを記録します。そして橋口さんは、自身がゲイであることを公表しました(当時としてはスゴいこと。現在でもメジャーな映画監督の中でカミングアウトしているのは橋口さんだけです)。『二十才の微熱』はゲイの人がつくった初めてのメジャーなゲイ映画であり、二丁目でも大きな話題になりました。

1995年に発表した『渚のシンドバッド』は、ゲイの男の子とレイプされた経験をもつ女の子(歌手デビュー前の浜崎あゆみさんが演じていました)の友情、そしてノンケの男の子との三角関係を中心に、多感で傷つきやすい高校生らの青春群像を描いた作品。本当に好きで何度も観たという人がいるくらい、日本のゲイ映画史に燦然と輝く名作です。(ロッテルダム国際映画祭グランプリ。トリノ国際ゲイ&レズビアン映画祭グランプリ。毎日映画コンクール最優秀脚本賞受賞)

2001年に発表した『ハッシュ!』がまた大傑作で、友人の女性に子どもを産んでもらおうとするゲイカップル(田辺誠一さん&高橋和也さん)を描き、新しい家族のカタチを提示していました。冨士真奈美さんや秋野暢子さんなどもいい味を出していて、ゲラゲラ笑えるシーンもたくさんあり、ゲイコミュニティでは大好評でした。また、カンヌ国際映画祭監督週間に招待されたり、キネマ旬報年間ベストテンで第2位に選ばれるなど、高い評価を得ました。(他にもヨコハマ映画祭で作品賞、監督賞、主演男優賞などを受賞)

2008年、それまでのゲイテイストな作風からはうってかわって、うつに陥った妻とそれを支える夫、その本当の意味での絆というものを描く『ぐるりのこと。』を発表しました。主演の木村多江さん、リリー・フランキーさんの好演も光り、この作品も高い評価を得ました。(日本アカデミー賞:最優秀主演女優賞、毎日映画コンクール:日本映画優秀賞、脚本賞、ブルーリボン賞:主演女優賞、新人賞、山路ふみ子映画賞ほか)

そして2013年、橋口監督の待望の最新作『ゼンタイ』が届けられました。

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