ファンド投資のトラブルによる相談・苦情が高水準
インターネットの投資広告に騙されてしまった……!
国民生活センターが2013年8月1日に公表した「2012年度のPIO-NET(※)にみる消費生活相談の概要」によると、「ファンド型投資商品」に関する相談件数は1万5299件で、高水準にあります。
(※)全国消費生活情報ネットワーク・システム
投資詐欺の被害者は、高齢者で資産家というイメージがあるかもしれません。ところが、最近は、金融商品の広告がインターネットで頻繁に行われるようになり、年齢層が比較的低い人が投資詐欺の被害に遭うケースもあります。
最近では、MRIインターナショナルによる架空運用疑惑が世間を騒がせました(現在、捜査中)。米国の診療報酬請求債権などを買い取って回収する「MARS投資」というファクタリングで運用するもので、元本確保・利回り6.0~8.0%を謳い文句にしたものです。あのような事件が起こると、「投資=怖いもの」という、誤ったイメージがついてしまいます。「MARS投資」は、インターネットなどで積極的に宣伝をしていて、私も目にふれる機会が多かったので、実際に資料を請求して、内容を確認しました。
また、お客様からの相談の中でも、某国のダイヤモンド鉱山を開発する未公開株への投資について、客観的な意見を求められたこともあります。
そこで、投資詐欺のトラブルに巻き込まれないために、事前に知っておくべき、投資詐欺に共通する傾向を紹介します。
投資詐欺に共通する傾向、6つのポイント
(1)心当たりのない資料が届くインターネットで自ら資料請求をするケースは別ですが、一般的に、投資詐欺グループは、資産家などのリストを手に入れて、パンプレットを送りつけてきます。そして、届いた頃を見計らって、電話をかけて勧誘します。きちんとした金融商品販売業者であれば、いきなり資料を送りつけることはありませんので、相手にしないほうが賢明です。
(2)パンプレットが豪華
きちんとした金融商品であるとか、資産家向けの商品であることを見せるために、パンフレット類は、豪華で質が良いものを使っている場合が多いです。また、これとは全く反対に、パンフレット類が粗雑だったり、記載されている用語や説明が稚拙であったりする場合も要注意です。
(3)会社の所在地が都心の豪華なビルに入居
最近は、都心の有名ビルで住所貸しをするサービスがあり、投資詐欺グループも、自社が立派な会社であることを見せるために、こういったサービスを使います。住所をインターネットで検索すると、すぐに判別がつきます。
実際に現地に訪問して、事務所を確認するという方法もありますが、かえって身の危険が生じる可能性もあるので、あまりおすすめはできません。遠めに事務所の入っているビル等を眺める程度にしたほうが無難です。
(4)元本保証(確保)で利回りが高いことを謳っている
元本が保証または確保されていて、高利回りを謳っているものが多いです。現在の投資環境を考えると、元本保証(確保)で金利が5.0%を超えるものは、十分に注意する必要があるでしょう。最近は、元本保証だと、かえって疑われやすいので、パンフレットには、リスク商品であることを明記した上で、商品説明の際には、「元本は保証する」と言って勧誘したりする場合もあるそうです。
(5)金融商品等販売にかかる登録等の表示がない
金融商品等のリスク商品を販売する場合は、一般的に監督庁への登録が必要です。これらの登録や販売する資格なしに募集・勧誘している場合は、まず疑うべきです。中には、あなただけのお得な投資情報だからと言って近づいてくる場合もありますが、違法行為に加担させられているかもしれない、という認識を持つ必要があります。
ファンド業者としての登録が必要な場合、及び登録が必要な業務の種別は、以下のとおりです。
ファンド業者の業務と登録
上記の表に記載の業務に該当する場合であっても、適格機関投資家等特例業務に該当する場合(※)には、登録は必要ありませんが、金商法第63条第2項の届出が必要です。
(※)集団投資スキーム持分(ファンド)の出資者に、1名以上の適格機関投資家がおり、適格機関投資家以外の者(一般投資家)が49名以下である場合
(6)情報公開が不十分
投資の運用実績や運用会社の業績・決算情報が不十分なケースが多く見られます。投資をする場合には、これらの情報開示を求めるべきです。最近の傾向として、騙す手口が巧妙になってきています。例えば、正規の金融商品取引に関する登録業者としての器を作った上で、投資詐欺まがいのことを行うケースや、運用実績をホームページで公開しつつも、その内容がいい加減であったり、投資に関するリスク説明の表示を一応入れたりとさまざまです。
>>投資詐欺に遭わないために対処するべき方法は?