悩んでいるお子さんはいませんか
この言葉に、いやな思い出はないですか。ガイドにはあるのです。なにせ、自由研究と言うくせに、やらない自由はない。強制研究ですから……。子どもの頃のガイドにとって、それは、楽しい夏休みを暗黒の日々に変える呪文のような言葉でした。今、この瞬間も悩まされ、苦しんでいるお子さんがいるのではないでしょうか。いやいや、お子さんだけではありません。ご家族の方も一緒に頭をかかえていませんか? 心配ご無用。この私が、みなさんをお救いしますぞ。
<目次>
将棋の歴史を自由研究の題材にしてみよう
将棋は日本の伝統文化です。小中学生の皆さん、その起源や歴史、特徴などを自由研究の対象にしてみてはいかがでしょうか? 将棋を指せる人も、まったく知らない人も、きっと、その魅力を知ることになるでしょう。今回はお子さん達へ、自由研究ガイドです。将棋の起源
起源はインドのチャトランガ
チャトランガはおよそ紀元前300年から200年頃に生まれたとされています。日本で言えば、縄文時代から弥生時代の頃ですね。
チャトランガのエピソード
チャトランガが生まれるにあたっては、おもしろいエピソードも残っています。紹介しましょう。むかしむかし、戦争好きの王様がいました。王様は他国との戦争を繰り返し、国民は、ほとほと、まいっていました。大臣達も「これでは国が滅びてしまう」と気をもんでいました。そこで、知恵者と評判の若いお坊さんに相談しました。
「何とか、王様に戦争をやめさせる方法はないものか?」
若いお坊さんは「考えてみましょう」と約束しました。
数日後、そのお坊さんが宮殿にやってきました。手に持っているのは、盤と駒。
「王様、これはチャトランガと言うゲームです。チャトランガとはゾウ、馬、車、歩兵の4つを表す言葉です。これは、相手と知恵で戦うゲームです。どうぞ、やってみてください」
王様はチャトランガに夢中になり、戦争どころではなくなりました。国民は皆喜び、チャトランガを楽しんだそうです。
日本の将棋の歴史
奈良の大仏も将棋好き?
お殿様も将棋が大好き
江戸時代に入ると、幕府には将棋所が設けられました。八代将軍吉宗(暴れん坊将軍で有名ですね)さんの頃からは、毎年11月17日に将軍の前で将棋を指してみせる「御城将棋(おしろしょうぎ)」が開催されるようになりました。ちなみに日本将棋連盟は、この日を 「将棋の日」としています。
幕末から明治にかけて活躍した福沢諭吉さんも大の将棋ファンで、後に名人になる小野五平さんを支援しています。
将棋の駒は個性豊かな8種類
将棋には「王将」「金将」「銀将」「桂馬」「香車」「角行」「飛車」「歩兵」の8種類の駒があり、それぞれの動き方が違います。また、敵陣に入れば、パワーアップします。これを成駒(なりごま)と言います。また、あまり知られていないことですが、正式な駒には「玉将」と「王将」の2種類があります。働きは同じですが、年長者や上級者が「王将」を持つことになっています。その他、駒の動き方や並べ方などをもっと詳しく知りたい人は以前のガイド記事「将棋のルールを覚えよう」を参考にしてください。
駒の並べ方にも作法がある
お茶に茶道、お花に華道があるように、将棋には棋道(きどう)とよばれるものがあります。将棋という競技が文化と呼ばれるのは、この棋道があるからなのです。棋道は、将棋の強さだけでなく、競技としての美しさ、品格を追求し、人間としての精神を成長させようというねらいがあります。たとえば、駒を並べるのにも、作法があるのです。図は大橋流と呼ばれる並べ方です。数字は、駒を置いていく順序を示しています。なんと、将棋には審判がいない
将棋には審判がいません
日本将棋だけの特徴(持ち駒)
相手から取った駒は駒台に置く
なぜ、この持ち駒ルールが日本の将棋にだけできていったのかは、はっきりしません。けれども、一説には、次のようなことが言われています。
日本人には「昨日の敵は今日の友」ということわざがあります。また、たとえば、戦国時代は、敵の大将が降伏すれば、その部下達を自分の軍に雇い入れたと言われてもいます。この精神が、独特の持ち駒ルールを生んだのではないかという説です。
現代将棋のタイトルそしてコンピューターとの勝負
七冠を達成した羽生さん
これはタイトルではありませんが、2012年には、コンピューターソフトとプロ棋士が対戦する「電王戦(でんおうせん)」も登場しました。平成25年には第2回も行われていますが、通算戦績は、ソフトの4勝1敗1引き分けで、その圧倒的な強さを発揮しています。ただし、羽生さんはこの電王戦に参加していませんし、渡辺明さんは現役竜王として、ボナンザというソフトに勝利した経験を持っています。ですから、ソフトと人間との勝負はまだ決着を見たわけではなさそうです。
将棋の盤と駒
将棋の盤と駒
駒はプラスチック製や木製の物があります。プロが使うのは最高級の物で、ツゲという木を材料にした物です。駒の字もいろいろで、芸術作品として楽しむ人もいます。駒の有名な生産地は、山形県天童市。日本一です。天童市は、中学生の全国大会や、人間将棋(人間が駒になり広場で行われるイベント)でも有名です。
将棋の歴史を学んだあとは、実際に指してみて
家族で将棋を指してみませんか
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