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「みつばち」の小倉アイス、乳脂肪ゼロでなぜ濃厚?

湯島で生まれ育った大の和菓子好きの友人が「これ以上美味しいあんみつはない」と熱っぽく語っていた大学生の頃、つられるように通い始めてファンになり、かれこれ15年ほど経つ「みつばち」。中でも小豆の風味豊かな「小倉アイス」がのった「小倉あんみつ」の味わいは格別。その美味しさの秘密を訪ねてきました。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

「小倉アイス」の老舗・創業100余年

湯島で生まれ育った大の和菓子好きの友人が「これ以上美味しいあんみつはない」と熱っぽく語っていた大学生の頃、つられるように通い始めてファンになり、かれこれ15年ほど経つ「みつばち」。中でも小豆の風味豊かな「小倉アイス」がのった「小倉あんみつ」の味わいは格別。その美味しさの秘密を訪ねてきました。

湯島の「みつばち」

みつばち

「みつばち」通りに面したショーケースには18種類のアイスクリームがずらり

明治42年に氷業として創業した湯島の「みつばち」。現在は小倉アイスにあんみつ、夏季はかき氷などが人気の甘味処です。

近隣にはどらやきで知られる老舗菓子店にかりんとうの人気店、豆餅・豆大福が愛されるお店などがあり、和菓子好きにはこたえられないエリアでもあります。
店内

店内は6卓。最大で22~23人 掛け

「小倉アイス」と「小倉あんみつ」、そして「黒糖アイス」

小倉アイスSP

「小倉アイスSP」(テイクアウト最中付き250円、店内420円)

小豆と砂糖、塩、そして水だけで作る「小倉アイス」の元祖として知られる「みつばち」。小倉アイスが誕生したのは氷業を営んでいた大正4年のある夏の日。冷夏で売れ残ったかき氷用のゆで小豆と氷を桶に入れて保存した翌朝、凍り始めた小豆の美味しさに驚き、アイスクリーム機で回してみたのがその始まりなのだそう。

小倉アイスの口当たりはふんわりとろり。それでいて、さっぱりとして重たさがないのは乳製品を使わないためでしょうか。

乳脂肪ゼロではシャリシャリしたりカチカチになったりしそうなものですが、滑らかな口当たりとコク、まろやかさはどこからくるのか。若き4代目に尋ねてみると「小豆をたっぷり使っているから」とのお返事で、続けて「餡のまったりとした舌触りを思い浮かべて頂ければ」とのこと。空気の含ませ方にも秘密がありそうですが、改めて小豆は多芸です。

今では店先には18種類のアイスクリームがずらり。最中に挟みテイクアウトができるため、手土産や食べ歩き用として大人気です。中でも元祖の「小倉アイス」に加え、茹で小豆入りの「小倉アイスSP」、そして創業100年を記念し作られた「黒糖アイス」は、いずれも乳製品を使わない「みつばち」ならではの味でおすすめです。
黒糖アイス

「黒糖アイス」(店内400円、テイクアウト最中付き250円)

同店の黒蜜のファンが多かったことから生まれた「黒糖アイス」は、塊のまま仕入れる沖縄産の黒砂糖で作るそう。黒蜜を舐めているようなというと大げさですが、それほどとろんと滑らかで、コクと旨味を感じます。

ちなみに店内では各テーブルに黒蜜のポットが置かれていて、好きなものに好きな量だけかけられるようになっています。濃厚な黒蜜は「あまりかけ過ぎると他の味が分からなくなってしまうので」と4代目。素材の味を大切に適量かける方が多いためか「ポットだとむしろ無駄が出ないのです。」とのことでした。
小倉あんみつ

「小倉あんみつ」580円

四季を通して一番人気という「小倉あんみつ」は、寒天にえんどう豆とフルーツ、抹茶求肥に漉し餡、小倉アイスが入ります。

店内でしか味わえない抹茶求肥は、もっちりとした中にも麩饅頭を彷彿とさせるふんわりとろりとした食感。自家製の煮杏はふっくらとして柔らか。それぞれほろ苦さと甘酸っぱさがアクセントとして効いています。

「凝縮させた濃厚さ」がポイントという、ほんのひと握りのこし餡は、職人さんが握ったままの形で盛られています。少し口に含むだけで他では味わったことのないような小豆の豊かな風味が広がります。

どの素材も個性的でつい別々に食べたくなりますが、やはり黒蜜を回しかけたときに真価が発揮されるようです。プリンとした寒天と塩加減が良いえんどう豆をベースにそれぞれの味が折り重なり、幸せなハーモニーを奏でます。

氷業から始まった「みつばち」。かき氷も見逃せない

宇治金夏

「宇治金夏(うじきんか)」(830円)

夏季にはかき氷を目当てに来店する人も多いとのこと。きな粉蜜と黒胡麻のアイスからなる「氷和三昧(こおりわざんまい)」にフルーツと練乳、バニラアイスからなる「クリームミルフル」。オーダーが入ってからレモンを絞る「氷生レモン」に自家製の煮杏で作る「氷あんず」。

迷いに迷って今回は、今一番人気と言う「宇治金夏(うじきんか)」を選びました。煮小豆に香りの良い抹茶蜜、プルンプルンの白玉にこし餡がちょこんとのっています。蜜も煮小豆も甘さが抑えられていて、素材の風味が際立ちます。大きな器に山と盛られていますが、甘さや素材のバランスが良く、最後のひと口まで美味しく楽しめます。ちなみに宇治金時ではなく宇治金夏と名付けたのは、夏らしさを感じて欲しかったためと、どこにでもある名前ではないものにしたかったから。

おまけに2つ、ユニークな名前が目を引く甘味をご紹介。ひとつは塩を効かせたバニラアイスの周りを漉し餡をのせた5粒の白玉が囲む「モノトーン」。トッピングの胡麻に至るまで白黒でまとめているからそう名付けたのだとか。

もうひとつは「サハラ」。寒天の上には砂に見立てたたっぷりのきな粉。その上には2こぶラクダをイメージしたバニラと抹茶のアイスに、月に見立てた餡。どちらも旅がアイデアの源という4代目が考案したものです。

湯島の老舗ならではの情緒ある雰囲気の中にも、チャーミングな笑顔の4代目らしさが反映された店作り。気取らずどこかユーモアがあって居心地が良いのです。素材を変えずに清潔に、笑顔をお届けすることがモットーと、お話を伺う時間以外は休むことなくテキパキと動き続ける姿が印象的でした。

<店舗情報>
■ 「みつばち
インターネット、またはFaxでお取り寄せ可能
所在地:東京都文京区湯島3-38-10 
東京メトロ千代田線 湯島駅4番出口より徒歩約2分
電話:03-3831-3083
営業時間:売店:10:00~21:00
喫茶:10:30~20:00
定休日:年中無休
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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