投資信託/NISA(日本版ISA)とは?その活用法

NISA投資では「出口戦略」も大事

今、NISAの話というと、どの金融機関を選ぶか、どの投資商品で運用するか、といったように、入口の話題がメインになります。でも、大事なのはこれから5年後、10年後にやってくる出口のこと。この時の値段がどうなっているのかによって、NISAのメリット、デメリットが大きく変わってくるからです。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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NISAの非課税期間は最長で5年

NISAには非課税というメリットがあるが、予想外のデメリットもある

NISAには非課税というメリットがあるが、予想外のデメリットもある

NISAは「少額投資非課税制度」といわれるように、一定額(年間100万円)を上限として投資したものから発生した値上がり益、配当金、分配金に対する税金を非課税にする制度です。

現在、制度についてはいくつかの見直しが提言されており、2016年には制度内容の見直しが行われるともいわれています。その時、最大の注目点になると思われるのが、非課税期間の恒久化です。

非課税期間の終了後はロールオーバーか移管

現行ルールだと、非課税期間は最長5年間です。では、非課税期間が終了した後はどうすればよいのでしょうか。

方法は2つです。1つはロールオーバーといって、そのまま次の非課税枠に乗り換えること。これはNISAの制度維持期間である2023年までは可能です。仮に2014年の枠でNISAを活用した場合、その非課税期間は2018年末ですが、その時点でさらに非課税期間を延ばしたい場合は、2019年の枠に乗り換えるのです。こうすれば2023年末まで非課税期間を延ばすことができます。

2つめは一般口座・特定口座への移管。ロールオーバー後の非課税期間が終了した場合は、無条件で一般口座・特定口座に移管させなければなりません。このうち問題なのは、一般口座・特定口座に移管させた場合です。

移管のタイミングによっては実質的に増税となるケースも

たとえば、当初100万円で運用がスタートしたものの、非課税期間が終了する時点で60万円まで値下がりしたとします。非課税期間は終わりなので、特定口座に移管させました。その後、値上がりして120万円になりました。

特定口座なので、 値上がり益に対して課税されるのは、何となく理解できるかと思います。問題は、どの時点の価格を元本とみなして値上がり益を計算するのかということです。

前出の例でいうと、100万円で買ったものが途中、60万円まで値下がりしたものの、その後、120万円に値上がりしたのだから、この時点で売却すれば120万円-100万円=20万円が値上がり益だと思うでしょう。

ところが、NISAの場合、一般口座・特定口座に移管した時点の価格、この事例でいうと60万円を新たな元本にするため、120万円-60万円=60万円が値上がり益になるのです。これに対して20.315%(復興特別所得税込み)の税金が差し引かれますから、税額は12万1890円。したがって手取りは47万8110円になります。

NISAは確かに非課税メリットのある口座ではあるのですが、このように当初の投資元本を割り込む形で非課税期間が終わり、一般口座・特定口座に移管させてから値上がりすると、むしろ実質的に増税になる恐れがあるのです。

だからといって有効な対策はありませんが、その事態に直面した時に、「どうして?」とならないようにするためにも、知識として頭に入れておくとよいでしょう。

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