先日川崎重工業がM&Aの取り扱いを巡って取締役会が社長を解任するという事件がありました。これは異常な事態であり、組織防衛上のガバナンスが機能したという意見がある半面、同社の組織マネジメントにおけるコミュニケーション不足を露呈させた由々しき事態であると私は受け取りました。今回は組織運営におけるコミュニケーションの重要性とそのポイントについて解説します。

川崎重工の社長解任は、コミュニケーション不足が招いた失態

川崎重工業の一件は、三井造船とのM&Aを積極的にすすめようとしていた社長を反対派が止めようとして解任決議に至ったものです。社長、反対派どちらが正しいかは別問題として、常識で考えてもし社長を含めた取締役間でしっかりと議論がなされる環境にあり意思疎通がはかられたコミュニケ―ションがとれているなら、このような異常な事態には至らなかったはずなのです。一方的なM&A破談による対外的な信用失墜も含め、組織の一大危機も招きかねない、由々しきコミュニケーション不足であったと言っていいでしょう。

解説

取締役会での社長解任は異常事態

同じような取締役会による社長の解任劇の有名な例に、1982年の三越デパートの岡田社長解任事件があります。このケースはワンマン経営で組織を私物化していた岡田社長が、突如取締役会による解任の憂き目に会いました。行き過ぎたワンマン体質故、双方向のコミュニケ―ションが存在せず、止むなく社長解任という異常事態に至らざるを得なかったという事情によるものです。この事件で三越の負ったダメージははかり知れません。健全な双方向コミュニケーションが存在したなら、もっと穏便な形でのマネジメント修正がはかれたはずなのです。

人と人が集まって組織となり何か共通の目的に向かって共に進んでいくのであれば、相互コミュニケーションによる意思疎通は不可欠であり、規模の大小を問わずコミュニケーションの悪い組織で円滑な組織運営などできるはずがないと断言できます。一般に「コミュニケーションは組織の血液である」と言われます。人間が血液によって酸素や栄養が体の隅々にまで運ばれることで活力みなぎる状態になれるのと同じく、組織は円滑なコミュニケーションによって活力ある組織運営が実現できるのです。