平成25年5月24日に国会で、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、いわゆるマイナンバー法が成立しました。全体的なメリットとしては、社会保障・税にかかわる行政手続きの添付書類削減、マイ・ポータルサービスの利用による利便性の向上、所得のより正確な捕捉による新しい社会保障制度の設計などが挙げられていますが、申告手続きや納税はどうなるのでしょうか。どのように進歩するのか、注意点や危惧される点はないのかなども含めて整理してみましょう。
e-Taxなどでパソコンを使って確定申告をする人は増加中
現在でも所得税を中心に、電子申告、いわゆるe-Taxを利用した確定申告は可能です。e-Taxに限らず、国税庁ホームページ内の確定申告書等作成コーナーや税務署の端末を使って所得税の申告書を提出した割合が、はじめて過半数を超えたというデータもあるので(下図参照)、なんらかの形でパソコンに触れて申告手続きをした納税者が過半数を超えたということになります。■ICT(情報通信技術)を使って所得税の申告書を提出した人数
ところが、e-Taxを使う場合も確定申告書等作成コーナーを使う場合も、源泉徴収票や年金の受給記録といった資料が手元にあってはじめて申告が可能になります。つまり、前もって資料を収集しておかないと、申告ができないということです。
利便性向上のカギとなる「マイ・ポータルサービス」とは
マイナンバー制度のもとでは、個人では12桁、法人では13桁の税と社会保障にかかわ共通番号が割り振られることになっています。これを活用し、行政機関が保有する納税者の情報や行政機関から納税者に対してのお知らせ情報を、自宅のパソコンなどから確認できるよう整備されるとのこと。その中には、各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報も含まれる予定です。したがって、給与の源泉徴収票や公的年金の源泉徴収票、支払調書の記載内容・特定口座の記載内容、市区町村や社会保険事務所が把握している健康保険・国民年金の納付の記録といった、確定申告に必要な資料が、自宅のパソコンから取り出せるようになるかもしれません。資料の収集と申告書の作成が同時にできるようになり、確定申告の利便性が向上するでしょう。このような仕組みを「マイ・ポータルサービス」と呼んでいます。
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