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価格を導く方法 収益還元法(2ページ目)

不動産の鑑定評価における3手法のうち、「原価法」・「取引事例比較法」についてはすでにお話しを終えましたので、最後の1つ、「収益還元法」についてお伝えしたいと思います。

佐藤 益弘

執筆者:佐藤 益弘

不動産にまつわるお金ガイド

長年、日本においての不動産評価の基準は、専ら土地のみの価格を評価し、周辺地域の取引事例というものを基に判断する傾向が強かったのですが、バブル崩壊と共に、土地神話が崩れたことにより、近年では不動産の収益性に着目した収益価格が重視されるようになっています。

この直接還元法は、欧米各国では歴史があり、多用されている手法です。単純な算式が用いられているためわかり易い手法ではありますが、半永久的に不動産を保有し続け、そして、初年度の年間の純収益が次年度以降も永遠に得られるということを暗黙のうちに前提としており、不動産を投資対象として一定期間(有期)保有することにより収益をあげるということは想定していないという面を持ち合わせています。

また、直接還元法の問題点として、還元利回りが変化すると評価額が大きく変化するといった点も挙げられます。

極端な例えですが、純利益が100万円で還元利回りが0.1%とすると、不動産の評価額は1億円となりますが、還元利回りが5%に上がると評価額は2,000万円となり、その評価額に大きな開きが出てしまいます。

このことから、還元利回りの的確な設定が重要なポイントとなってきますが、現状において、還元利回りについての設定手法は「ない」言われています。

一般的に、対象不動産の参考となる事例の利回りデータを収集し、それに当該不動産の管理やテナント状態・競争力などの個別性に将来の賃料動向を総合的に比較考慮して、還元利回りを設定しているようです。
ある意味で、この点がノウハウだ・・・と言えるでしょう。


次回は、DCF法の具体的な内容についてお話していきます。
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