土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

不動産オーナーは注意!日本の物件が海外で人気のワケ

円安や金融緩和の影響で、日本の不動産は海外人気が高まり、競争が激化する見込みです。その人気の背景とオーナーが注視すべきポイントを解説します。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

いま、中国、東南アジアなどから日本の不動産を購入する動きが目立つようになってきました。需要が高まれば、自ずと供給も盛んになり、日本の不動産市場には、新たな競合物件が次々と参入し続けています。
既存のオーナーさんにとって、最新の設備を備えた付加価値の高い競合物件は脅威であり、今後の市場の流れをよく注視しておく必要があります。
ここでは、そもそも、なぜ日本の不動産がこんなにも人気なのか、背景を解説します。

1.為替相場の推移

いま、世界のマネーが日本に集中して、日本の不動産購入などの動きになっていますが、その一番の契機となっているのは為替レートの変動です。

このグラフを見ると、2012(平成24)年1月時点で1ドル76.98円だったのが、2015(平成27)年7月時点では1ドル123.24円となっていることが分かります。4年前には、日本で100円のモノを買うには1.30ドル必要だったのが、現在では同じ100円のモノが0.81ドルで買えるのです。すなわち、日本のモノの価格が37.7%も値引きされていることになります。
不動産に当てはめると、4年前に1億円していた日本の不動産が、現在では6,230万円まで値引きして買えることになったのです。円安・ドル高の為替相場変動を契機として、日本の不動産は世界で一番のお買い得価格になっているのです。
為替相場の推移

為替相場の推移


2.GDP推移の比較

この20年間のGDPの動きを他国と比較すると、日本は殆ど横ばいと言って良く、「失われた20年」が象徴されていると思われます。

1995(平成7)年を100とした、日本、韓国、中国、アメリカの実質GDPの推移を表したグラフです。日本のGDP指数がわずか115.7なのに対して、韓国は2倍超の227.0、中国に至っては5倍超の558.5という急成長を遂げています。
一時は、東京の不動産だけでアメリカ全体を2個買えると言われた時代があり、日本の賃貸市場・ホテル宿泊代が世界一と言われた時代もありました。ところが、時代が変わってしまい、いまは世界的にみると不動産も宿泊代も物価も安い日本になってしまったのです。世界中から日本に観光客が訪れる、日本のモノを買うということになり、その中に不動産も入っているのです。お財布の豊かな海外の国の人達が、海外から見ると半値近くなっている日本のモノを買わない手はないという状況が生まれているのです。
GDPの推移

GDPの推移


3.世界的な金融緩和

ヨーロッパなどではゼロ金利、場合によってはマイナス金利になっていて、政治・経済が安定していてリスクの少ない投資市場を探しています。また、急成長している中国からは、爆買いの金額と何桁も違う不動産を買いに来ているお金持ちがいます。併せて、台湾、ヨーロッパ、アジア新興国マネーが雪崩を打って買いに入り、東京の不動産市況の大きな飛躍になってきています。

その中で、私達が注視しなければならないのは、やはり中国の経済動向です。また、ヨーロッパでは移民流入、テロなどの政治的問題が、経済政策に大きな影響を与え、経済成長に影を落とす可能性もあります。
また、投資マネーというのは、利回り重視型で家賃を求めてきますので、より付加価値の高い賃貸の差別化を図った競合が厳しくなってくるのは間違いありません。
以上のような意味から、日本の不動産市場の動きを注視していく必要性があると言えます。そして、市場の大きな流れを掴み、ご自身の物件が生き残る為に何をすべきかを考えましょう。
特に、老朽化した物件では苦戦を強いられることは明らかです。競争が激化すれば、今まで通りのやり方では通用せず、より踏み込んだ対策を取らなければならないケースもあるでしょう。
リノベーション、建て替え、売却などの思い切った選択肢も視野に入れつつ、市場の変化に柔軟に対応していただければと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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