「大人バレエ」と「子どもバレエ」って一体何が違うの?
大人が大勢集まるオープンクラスやスポーツジムなどでレッスンをすると、「うわぁ~、この人上手!」という人が一人ぐらいはいますね。そういう方に聞くと必ず「子どもの頃にバレエを習っていた」という答えが返ってきます。大人から始めてあのレベルまで行くのは「とてもとても…」と思われることでしょう。でも、大人から始めたバレエでも、やり方によってはかなり上手になれます。大人バレエと子どもバレエの上達のプロセスの違いが分かれば、大人からバレエを始めても結構上手になれます。ただし、子どもの頃からバレエを習ってきた人たちと同じプロセスを経ようとすると結果が出ません。そこを一緒に考えてみましょう。
子どもバレエ
「大人バレエ」と「子どもバレエ」っていったい何が違うの?
一例として、私が主宰しているバレエ教室では、年少になる3歳から受け入れています。そして、年齢別に幼稚園児クラス、小学低学年クラス、小学高学年クラス、その後は大人と一緒のクラスとなります。教室によっては、もっと細かく分けていたり、実力に応じてクラス分けしていることもあるようですね。
年齢と指導内容に関して大事なことは、幼稚園児クラスでは運動神経の土台作り、小学低学年クラスでは多様な動きに慣れること、小学高学年クラスではバレエの様式を覚えること。このように体と脳の発達段階に合わせて指導内容を構成する必要があります。
特に小学高学年の時期は「ゴールデンエイジ」と言われ、一生に一度きりの「見たことはすぐに覚えられる」時期です。この時期にバレエを習っていれば、一生体が覚えてくれています。自転車と同じですね。一度乗れるようになった自転車は、何年乗らない時期があってもすぐに勘が取り戻せます。この時期は、バレエでも色々なテクニックをあっという間に習得してしまうことになります。
幼児期から小学高学年にかけてバレエを習っていれば、その後バレエを辞めても「体が覚えてくれている」のです。大人の方でブランクがあっても上手な人は、小学高学年までバレエを習っていた可能性が高いですね。
大人バレエ
一方、大人のバレエは上記の子どもバレエと同じ経路をたどることはありません。成長を続ける子どもとは別の道程が必要となってきます。大人にとってお最適な道程は……。
やはり基本は「真似て覚える」ですね。子どもよりも時間はかかるかと思いますが、これは王道です。ただ、子どもと同じように体で理解するということは難しいので、くふうが必要になってきます。子どもは見ただけで真似ることが出来ますが、「見て真似る」は、大人にとっては少し難しい課題となります。「見て真似る」の他に、「理解する」が加わります。つなげると「見て、理解して、真似る」となります。
教師の正しいデモンストレーションを「見て」、教師の納得できる説明を聞いて「理解して」、それから「真似る」。この段階を経ると大人も上手のスピードを速くすることが出来ます。
ここで問題になってくるのは、理解やすい説明とはどういう説明か、です。例えば、解剖学的な説明、バレエ論的な説明、ステップの意味、イメージなど、色々な角度から説明することは出来ます。それらの中でどういう説明が分かりやすいか、あるいは好みかという観点でレッスンを受けてみて下さい。複数の先生のレッスンを受けられるようでしたらどの先生が分かりやすいとか、一人の先生に付いているなら自分にとって分かりやすい角度からの説明には特に集中するとか。それらがキッカケとなり上達が進みます。大人の生徒さんにとっては、ご自身の理解を助ける説明はどういう説明かを探していただきたいと思います。
ところで、そもそもバレエは独学で学ぶことも出来ますね。バレエのレッスンDVDや解剖学的に説明しているDVD教材なども出ていますし、ステップの意味や動かし方を説明している書籍も多く出版されています。それらを購入して勉強してみてはいかがでしょうか。ステップの質と量が変わりますし、覚えも良くなります。ぜひお試し下さい。