日本のセクシュアルマイノリティの未来
——参考までに、今後、何年かかるかわかりませんが、日本で同性婚とかパートナー法(シビルユニオンのような準婚姻制度)が認められるためには、ロビーイング団体などもがんばってるけど、やはり当事者の議員がいないと難しいと思いますか?当事者の議員がいることで変わる部分もあるけど、法律を成立させるためには過半数をとらないといけないので、そこまでの共通認識にもっていくのが大事。これは原則論ですが、どんな議員さんであれ、選挙区内に問題を抱えた人がいたら耳を傾けざるをえない。地元であればあるほど。なので、秘書でもいいから、アポをとって会ったり、メールでもいいから、この地域に住んでいて、こういう問題があるからぜひ同性パートナー法制度の整備を実現してほしいと訴える。カミングアウトってリスクもあるし、大変ですが。社会が寛容になり隠さなくてもよい人が増え、そういうことができる人が増えてくると、過半数をとれるようになると思います。これは立派なことだからみんな賛成してくれるよねっていうわけにはいかない。理念だけでは動かない。地元選出の議員さんたちが問題を認識すると、採決のときの行動が変わってくる。
——2004年に性同一性障害特例法が認められたときに、当事者の方々が与党から野党まで大半の会派を納得させて、通ったということがあったと思います。そういうふうに当事者議員やロビーイング団体がたくさんの議員を説得できれば夢ではないのかな、と素朴に思っていました。
それは、みんなで考えていくしかない。今は国会議員も世代交代しつつあって、党派を問わず、理解ある方が多くなっているので、そういう若い方が中堅になったときに変わるかもしれない。すべての人が同性婚やパートナー法を望んでいるわけではないということも踏まえて、どういう法律がいいのかということも考えていかないと。
——わかりました。最後に、日本のセクシュアルマイノリティの未来について、何かひとこと、お願いします。
未来を夢見ることをあきらめないでほしいですね。どうせダメだろうと思ってあきらめてしまうとそれ以上はないけど、夢見たことに向かって、たとえそれが失敗でも、行動すること。それで何かが変わっていく。こんなことは日本では無理だよと言ってあきらめたら、何も生まれない。逆に言うと、夢見る力が現実を連れてきてくれる。私自身も、ハーヴェイ・ミルクの本を読んだときに、日本にもこういう人が出てきてほしいと強く思った。今回は、私がそういう役割になったことに驚いていますが、そういう世界を望んできたからこそ、ここに来れた。望む世界、望む未来をあきらめないでほしい。私もあきらめかけた時期があるだけに、生きづらさを抱えながらがんばってる身にはつらいかもしれないと思いますが。長い目で見ていけば、5年後、10年後に、変わるかもしれない。次の新しい未来を夢見て、いっしょに行動できたらと思います。
——どうもありがとうございます。これからもご活躍に期待します。