労務管理/就業規則の基礎知識

これで納得!有給休暇の効果的消化方法(2ページ目)

年次有給休暇のトラブルの多くは退職時。残っている有給休暇を全て消化して退職を申し出られた場合です。既出の記事「退職時の未消化有給休暇のトラブル防止策」で対策方法の概要をお伝えしたところですが、今回はより掘り下げた解説をいたします。それはズバリ「計画的付与」制度の活用です。詳しい具体例を解説いたしました。ぜひ自社で導入できそうな計画的な付与方法を見つけ制度化いたしましょう!

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

計画的付与時季の様々なバリエーション!

年間の業務量などを勘案し自社に合った制度を構築しよう!

年間の業務量などを勘案し自社に合った制度を構築しよう!

岡山労働局から計画的付与時季の具体的事例が紹介されています。以下で解説をいたします。ワーク・ライフバランスも進みますね。

【夏季、年末年始の付与で、大型連休】

岡山労働局ホームページから抜粋

岡山労働局ホームページから抜粋


【ブリッジホリデーで3連休、4連休】

岡山労働局ホームページから抜粋

岡山労働局ホームページから抜粋


【アニバーサリー(メモリアル)休暇制度】
(例)
年次有給休暇の計画的付与制度(例6日)を活用して「アニバーサリー休暇」と「多目的休暇」を設けます。従業員一人ひとりに年次有給休暇のうち6日間を、次のような形で年度始めに計画を立てるようにする制度です。

・アニバーサリー休暇 3日(誕生日、結婚記念日等を含む連続3日間)
・多目的休暇 3日(自由に設定する)

岡山労働局ホームページから抜粋

岡山労働局ホームページから抜粋



【閑散期に計画的付与日を設け休暇取得促進】
(例)
業務閑散期である1~2月の土曜日(4日間)を計画的付与日に指定、実質的な労働日数を減少させることができます。

岡山労働局ホームページから抜粋

岡山労働局ホームページから抜粋


実態をみてみると、365日すべて繁忙期という企業は少ないでしょう。年末年始・お盆休みなどを積極的に活用してみましょう。労使合意の下ですから気兼ねなく休めます。自然と消化も進みますからメリハリの利いた休日・休暇制度で従業員の動機づけも進みますね。

計画的付与制度の導入に必要な2つの手続き!

年次有給休暇の計画的付与制度の導入をするためには、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。

1.まずは就業規則で規定する

年次有給休暇の計画的付与制度を導入には、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などのように定めなければなりません。

2.次に労使協定を締結する

実際に計画的付与を行うには、就業規則の定めるところにより、従業員の過半数で組織する労働組合または従業員の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。労使でしっかり内容を取り決めておきましょう。なおこの労使による書面協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

労使協定で定める項目は次のとおりです

・ 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
・ 対象となる年次有給休暇の日数
・ 計画的付与の具体的な方法
・ 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
・. 計画的付与日の変更

労使協定を次のように作成しよう!

計画的付与の時季を書面で明確にしておきます

計画的付与の時季を書面で明確にしておきます

次に具体的労使協定(例)をご紹介します。(案)を基に、早速自社で作成を進めましょう!

(例)年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定

○○株式会社と同社○○労働組合は、標記に関して次のとおり協定する。

1 当社の従業員が保有する平成○年度の年次有給休暇(以下「年休」という。)のうち、5日を超える部分については5日を限度として計画的に付与するものとする。

2 年休の計画的付与の期間は、7月1日から9月30日までとする。

3 従業員は6月10日までに、所属長に対し、期間中において年休の取得を希望する日を申し出るものとする。

4 各所属長は、所属従業員の年休取得希望日が特定の日に集中し、業務の正常な運営に支障を与えるおそれがあると認められた場合には、従業員に対して希望日の変更を求めることができる。各所属長は、希望日の変更を求める場合は6月20日までに従業員にその旨通知するものとする。

5 本年度の年休の日数から5日を控除した日数が「5日」に満たない従業員に対しては、その不足する日数の限度で、第2項の期間中に特別有給休暇を与える。

6 各所属長は、所属従業員の年次有給休暇表を作成し、従業員に提示するものとする。

平成○年○月○日 ○○株式会社
取締役社長 ○○○○

○○労働組合
執行委員長 ○○○○

<関連記事>
退職時の未消化有給休暇のトラブル防止策

<関連資料>
年次有給休暇の計画的付与制度の導入に向けて(岡山労働局)
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