火山噴火による住宅・家財の損害は地震保険金の支払い対象
噴火などの火山活動により、住宅や家財が損害を被った場合、地震保険の契約があればカバーが可能です。火災保険は「地震・噴火又はこれらによる津波」による損害を補償の対象外としているため、補償を受けるには地震保険の契約をしておきましょう。具体的には、噴火による以下のような被害がカバーされます。- 噴火による溶岩流、火山灰や爆風、噴石により住宅・家財が損壊・焼失した
- 噴火による火砕流・土石流・岩屑なだれ・融雪型火山泥流などで住宅・家財が焼失・損壊した
- 噴火による津波で被害を受け、住宅・家財が流失した
- 噴火による地すべり、山崩れ、あるいは土砂災害や洪水で住宅・家財が埋没したり、居住不能になった など
- 火山性の地震による住宅・家財の損害
地震保険では最大でも火災保険の50%までしか保険金額を設定できませんが、国や自治体による住宅を失うことへの支援は、被災者生活再建支援制度により最大300万円と限定的です。一方で、地震保険から受け取れる保険金は損害調査後にすばやく支払われており、使い道も自由ですから、噴火活動の活発化などで長期化しがちな避難生活でも、大いに助けられるお金となるはずです。
避難が必要でない場合でも、富士山噴火では広域にわたり火山灰が降るとされ、木造住宅では降灰により木造家屋損壊などの被害が発生することも想定されていますが、こうした場合も地震保険金の支払い対象となります。
なお、噴火に伴う空気の振動で窓ガラスが割れたりする「空振」の被害は、桜島などではよく耳にする噴火による被害です。ただし地震保険の対象となるのは、住宅の主要構造部に3%以上の損害が発生した場合です。住宅の軸組・基礎・屋根外壁などの主要構造部に、建物価額の3%以上の損害が発生していない場合には、保険金支払いの対象外となりますので、空振によるガラスだけの損害では、保険金は支払われないでしょう。
わが国は世界有数の「火山国」。ハザードマップの確認を
わが国は世界有数の火山国
わが国にある活火山については、気象庁や大学・その他研究機関による監視や観測が行われていますが、なかでも富士山をはじめ箱根山、伊豆東部火山群、八丈島、霧島山、桜島など、火山噴火予知連絡会により選定された47の活火山については、気象庁による24時間体制の常時監視が行われています。
さらに、大規模噴火時において国が主体的に取り組むべき課題や、今後の火山防災対策の推進に係る課題について、具体的な対応策を検討することを目的として、「広域的な火山防災対策に係る検討会」が内閣府により設置されていましたが、このほど平成25年5月、検討会により「大規模火山災害対策の提言」が行なわれました。
提言の序文によれば、近年、わが国における火山活動は比較的静穏ではあったものの、古来、幾度となく大規模な火山災害に見舞われた歴史があり、いつかまた大規模な火山災害が発生することは避けられません。特に、東日本大震災後のわが国は、三陸沖で大地震が発生し、火山活動が活発だった9世紀の状況に似ているとの指摘から、今世紀中に大規模噴火など大規模な火山災害が発生してもおかしくないと考えられる、としています。さらに、大規模噴火は過去9世紀や18世紀のように短期間に連続発生することも考えられると言います。こうした状況を踏まえさらに、「……東日本大震災から我々が得た教訓は、過去の災害に学び、大規模災害の再来を想定し日ごろから備えておくことの大切さである。……」とあります。
まさにその通りではないでしょうか。私たち1人1人が災害リスクを認識し、万が一の時の想像をめぐらせ、適切な備えを家族と共に考えておくことで、我々には防ぐことのできない災害でも、可能な限り被害を抑えることができるはずです。
火山に関しては、多くの地域で被害範囲を予測したハザードマップも作成されています。さっそく確認し、種々の準備をすすめておいてください。
【関連リンク】
独)防災科学技術研究所「自然災害情報室」
内閣府 防災情報のページ 火山対策
富士山火山防災協議会
火災保険の補償内容」勘違いランキング
火災保険の必要性2自然災害に国の補償なし
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