第37回世界遺産委員会速報!
新世界遺産「紅河ハニ棚田群の文化的景観」の絶景。フィリピンの「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」、インドネシアの「バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学に基づくスバック灌漑システム」に次ぐ、棚田を登録した世界遺産
今回は第37回世界遺産委員会の速報記事として、新登録の世界遺産全リスト(解説付き)、拡大された世界遺産、危機遺産リストの変更点等、その概要を紹介しよう。なお、本記事はUNESCO(ユネスコ=国際連合教育科学文化機関)の公式サイトの情報を参考に編集した。
[関連サイト]
- 2013年、新登録の世界遺産候補(候補物件と勧告の記載あり)
- 37th session of the Committee(第37回世界遺産委員会の公式サイト、英語)
新たに19件の世界遺産が誕生、世界遺産は計981件へ!
ポルトガルの世界遺産「コインブラ大学-アルタとソフィア」登録のアルタ地区。コインブラは12~13世紀の一時期、ポルトガルの首都として繁栄した都市。13世紀のコインブラ大学創立後は文化的中心として栄え、ポルトガルの政治・経済・芸術をリードした
新登録の世界遺産は19件で、そのうち文化遺産が14件、自然遺産5件。また、3件の拡大が承認された。これにより世界遺産総数は981件、うち文化遺産が759件、自然遺産は193件、複合遺産は29件となった。今回拡大を含めて30件が審議されたので、通過率は約73.3%だった。
はじめて世界遺産が誕生したのはカタール、フィジー、レソトの3国。これで、世界遺産条約締結国で世界遺産を保有していない国は30か国に減少した。
国別の登録数では、イタリアが2件増やして49件で不動の1位。今回、中国がスペインを抜いて2位(45件)へ浮上した。中国の伸びは世界一で、この10年で登録数を16件も伸ばしている。日本は14位16件から13位17件へ順位を上げた。
危機遺産リストでは、1件がリストから削除され、7件が追加された。これにより、38件だった危機遺産は44件に増えた。
富士山、念願の世界遺産へ! 鎌倉は無念の辞退
河口湖から見た逆さ富士。世界遺産には河口湖を含め、富士五湖すべてが登録された
勧告段階では以下のような問題点が指摘されていた。
- 登録基準(iii)(vi)の価値は認めるが、(iv)の価値は証明されていない
- 三保松原(みほのまつばら)は構成資産から除外するべきである
- 周辺の開発や登山の制限など、2016年までに保全状況報告書を提出する
- 「富士山」という名称を改め、内容と結びついたものにする
■「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産
富士山本宮浅間大社。1300以上存在するといわれる浅間神社の総本社
- 山頂の信仰遺跡群
- 登山道(大宮・村山口登山道、須山口登山道、須走口登山道、吉田口登山道
- 浅間神社(富士山本宮浅間大社、北口本宮富士浅間神社、山宮浅間神社、村山浅間神社、須山浅間神社、富士浅間神社、河口浅間神社、富士御室浅間神社)
- 御師住宅(旧外川家住宅、小佐野家住宅)
- 富士五湖(西湖、精進湖、本栖湖、山中湖、河口湖)
- 忍野八海(出口池、お釜池、底抜池、銚子池、湧池、濁池、鏡池、菖蒲池)
- 溶岩地形(船津胎内樹型、吉田胎内樹型、人穴富士講遺跡、白糸の滝)
- 三保松原
なお、2014年の第38回世界遺産委員会では「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産登録を目指す。