歌舞伎/はじめての歌舞伎観劇

歌舞伎の劇場はここ (前) 定期公演がある劇場

歌舞伎座をはじめ、日本全国、歌舞伎を見られるところは意外に多い?あなたの地元にも、気づかぬうちに歌舞伎が来ているかもしれません。ということで、今回は歌舞伎を上演している劇場を2回に分けてご紹介します。第一弾は定期的に公演がある劇場です。

堀越 一寿

執筆者:堀越 一寿

歌舞伎ガイド

どこでも歌舞伎は見られる? → YES!

「歌舞伎には興味出てきたけど東京まで行くのはちょっとねぇ……」という方もいらっしゃいますよね。

ここまで、歌舞伎座をメインにご紹介してきましたが、実は歌舞伎を上演する劇場は意外に多いんです。そこで今回は日本全国で歌舞伎を見ることができる代表的な劇場を一気にご紹介したいと思います。
かぶきざ

歌舞伎座(東京・東銀座)


(1)定期的に公演がおこなわれる劇場
  • 歌舞伎座(東京│東銀座)
  • 新橋演舞場(東京│東銀座)
  • 国立劇場(東京│半蔵門)
  • 浅草公会堂(東京│浅草)
  • 松竹座(大阪│難波)
  • 南座(京都│四條)
  • 博多座(福岡│博多)
  • 金丸座(香川│琴平)
(2)不定期に公演がおこなわれる劇場
  • シアターコクーン(東京│渋谷)
  • 明治座(東京│人形町)
  • 赤坂ACTシアター(東京│赤坂)
  • 三越劇場(東京│日本橋三越内)
  • 平成中村座(移動式劇場)

(1)定期的に公演がおこなわれる劇場

歌舞伎座(東京│東銀座)
やはり何と言っても筆頭は歌舞伎座です。役者さんにとっても特別な存在だと聴きますし、ファンにとってもこの劇場じゃなければ、というひとは多いようです。

そして歌舞伎座は唯一、1年12か月、歌舞伎を上演しています。まさに「歌舞伎の殿堂」というにふさわしい劇場です。2013年4月、3年の月日をかけてリニューアルされたばかりですが、旧・歌舞伎座(第4期)の良い点を残しつつ、バリアフリーに対応するなど、とても良い劇場に生まれ変わりました。客席も綺麗になって、安い席からでも舞台が見やすくなったのも嬉しいところです(←ココ重要)。

音響もいいですし、やはり初めに見るなら歌舞伎座をお勧めしたいというのが、私の本音です。

新橋演舞場(東京│東銀座)
歌舞伎座から歩いて5分のところに新橋演舞場はあります。歌舞伎座の建て替え工事期間、本拠地となったのがこの劇場です。歌舞伎座よりやや小ぶりな劇場ですが、ここも一年のうち数回、歌舞伎が上演されることがあります。

歌舞伎座に比べると少し落ち着いた雰囲気のロビーなど、新橋演舞場独自のカラーが出ています。

国立劇場(東京│半蔵門)
国立劇場では年2回の学生向けの「鑑賞教室」や、長らく上演が絶えている演目の復活などに力を入れているので、珍しい演目が見られることが多い劇場です。この劇場の特長は国が運営しているという点で、チケット代はかなり抑えめに設定されているのが観客にとってはありがたいところです。また、ロビーも広く、椅子も多く設置されているので休憩時間にゆったり過ごせるのが特徴です。

どの席からも、しっかり花道が見えますし、座席もゆったり作られているので快適に観劇できる劇場です。ただし、歌舞伎特有の桟敷席などが設けられていないため歌舞伎の華やかな雰囲気をいまひとつ味わえないのが残念なところです。

浅草公会堂(東京│浅草)
年に一度、お正月に若手花形の役者が気勢を上げるのが浅草公会堂です。花道も仮設ですし、回り舞台もない、いわゆる公会堂のような設計なので劇場そのものの魅力と言うのはいまひとつかもしれません。が!浅草という土地柄もあり、浅草寺も間近ということで、周囲が華やかで、いかにも芝居を見る雰囲気を町が演出してくれます。

劇場自体の不利な条件は、関わるスタッフさんたちの工夫と笑顔が忘れさせてくれます。舞台の若々しさ、劇場スタッフの熱気など魅力がいっぱいで、毎年おおぜいの若いお客さんが詰めかけています。

松竹座(大阪│難波)
大阪の道頓堀(地下鉄の難波駅から歩いて3分)にあるのが、この松竹座です。坂田藤十郎さんを筆頭に、上方(かみがた)の役者さんの本拠地と言ってもいいでしょう。

歌舞伎座にくらべると舞台の間口(幅)が小ぶりで、大阪で育ったお芝居を見るには適した雰囲気を持った劇場です。演目によっては松竹座で見てその魅力がアップすることもあるように思えます。客席数も歌舞伎座より少なく、役者さんをより身近に感じられるのが魅力です。

また、歌舞伎座と仕組みは違いますが、三階席の一部を「幕見席」として売り出すこともあり、当日ブラッと見に行くことができるのも地元の方には魅力でしょう。

また近隣には美味しい飲食店なども多く、観劇の前後の時間もたっぷり楽しめるのも楽しみのひとつです。

南座(京都│四條)
京都駅からは少々遠いのですが、華やかな空気を感じられる劇場です。決して大きな劇場ではありませんが、そのコンパクトさが(あくまでイメージですが)いかにも京都の粋を感じさせてくれます。南座では、長らく年末の顔見世興行というのが風物詩になっていて、各地方からも京都の顔見世に出かけていく人もすくなくありません。

なによりも嬉しいのは場所が京都ということですかね。地元の方にはさほどでもないかもしれませんが、お芝居以外の時間もとても楽しく過ごせます。京都観光と南座の顔見世を組み合わせるというのは、最高の贅沢かもしれません。

博多座(福岡│博多)
ご紹介する劇場の中ではかなり新しい方に入ります。こちらの博多座は中洲川端というたいへんアクセスの良い場所にあります。福岡空港からもわずか15分程度なので遠征する方も楽々行けるのは大きな魅力です。

とにかく立派な劇場で、客席も広く劇場の規模としても歌舞伎座クラス。内部の食堂や売店もたいへん充実していて、歌舞伎を見る時の晴れやかな気分を一層盛り上げてくれる劇場だと思います。

金丸座(香川│琴平)
四国の香川県琴平にある明治時代の芝居小屋で、毎年4月に歌舞伎公演を行っています。アクセスは決して便利とは言えませんが、いにしえの芝居小屋の雰囲気をたっぷりと残したこの劇場は、他では味わうことが出来ない臨場感や、役者さんへの親近感を感じられる素晴らしい場所です。

もとは文化財として単に保存されていただけでしたが、吉右衛門さん、勘三郎さん(当時は勘九郎)、澤村藤十郎さんらの尽力で歌舞伎公演が定着しました。

各地方からのツアーも組まれたり、チケットは大激戦で入手困難と、なにかと大変ではありますが、その手間と時間をかける価値のある劇場(芝居小屋と言う方がふさわしいのかもしれません)です。ぜひ一度は訪れたい劇場のひとつだと思います。

→「歌舞伎はココで見られる (下) 不定期に公演がある劇場」に続きます
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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