キトリ役に選ばれたときの心境はいかがでしたか?
米沢唯さん
『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥ自体はコンクールやガラも含めて何度か踊ってるんですが、全幕で踊るのは今回が初めて。でもパートナーの(福岡)雄大さんはものすごいテクニシャンで、本当にいろいろ考えて踊っている素晴らしいダンサーなので、彼を頼りつつ、私も何とかついて行ければと思ってます(笑)。
明るく健康的なイメージの米沢さん。
キトリ役はピッタリなのでは?
うーん、そう言われるんですけど……。『ドン・キホーテ』って、コメディじゃないですか。ハッキリ表現しないと伝わらないし、大丈夫かなっていう想いはすごくあります。特にキトリはテクニックでキメるシーンが多いので、回るところは回る、バランスを取るところはきちんと取る、という感じでひとつひとつの振りを正確に見せなければならない。そこはプレッシャーではありますが、テクニックを見せるのはちょっとスリルがあるというか、また楽しみでもあります。まだまだ不安もあるけれど、本番ではバシっとキメられるよう頑張ります(笑)。
2011年 新国立劇場バレエ団による バレエ・オープニング・ガラ公演で踊った『ドン・キホーテ』。撮影:瀬戸秀美
テクニック命のキトリ役。米沢さんが考える、“ココは自信あり!”、逆に“もっと磨かなければ!”と思うところとは?
自分のことはよくわからないというか、いいところが思いつかないですね……。しいて言えば、思い切りがいいところかな。うじうじ悩む割には、“ま、いっか!”と開き直れてしまう(笑)。それが舞台に出ていたらいいなという感じです。磨きたいところは、沢山ありすぎて……。でも言ってしまうと、そこばかり観られそう。“あれ苦手なんだ!”って注目されたらイヤだから、内緒にしときます(笑)。
今まで観たキトリの中で、
心に残っているダンサーはいますか?
ナタリア・オシポワ! サーカスみたいで、イキイキしてて、切ったら血が出るようなキトリ。情熱的で、すごく素敵でした。テクニックもバッチリだし、ちょっと破天荒な感じもまた楽しかったです。米沢さんならではのキトリとは?
役作りはどのようにしようと考えていますか?
リハーサルをやりながら、試行錯誤して少しずつ作り上げていきます。だから、どうなるか今はまだまだ見えていない感じ。最終的に舞台の上で出来上がればいいと思っているので、リハーサルの段階ではとてもお見せできる状態じゃないですね(笑)。たぶん舞台上で2回通し稽古ができるので、2回目の途中くらいで“あ、これでイケるかな”って感じられたら御の字だと思っています(笑)。