複数の居住者が建物を所有するマンションは、個人が所有する「専有部分」と、居住者(区分所有者)全員で所有する「共用部分」とに分かれる。簡単にいうと、自分が購入した住戸の内部が専有部分、それ以外の部分が共用部分ということになる。
しかし、ここで問題になってくるのが共用部分と専有部分の境界。壁紙や天井などは専有部分なので自由にリフォームしたり貼り替えたりできるが、隣戸との境の壁に穴をあけるのは共用部分の躯体に傷をつけることになるのでできない。玄関ドアも共用部分なので勝手に付け替えたり外側を塗り替えることは禁止されている(内側を塗り替えることは可)。
また、専有部分でもリフォームが制限される場合がある。床のカーペットをフローリングに張り替える場合は、一定以上の遮音性能を確保したうえで、管理組合理事会の承認を得なければならないとするケースが多い。あるいはキッチンやトイレなどの水回りの位置を変えることを禁じているマンションも少なくない。
さらに注意したいのが、バルコニーや専用庭。一見、個人の所有する専有部分のように思われがちだが、実はこれらは共有部分。バルコニーや専用庭は、実質その住戸の居住者しか使えない構造になってはいるが、あくまでも「共用部分の専用使用権」が認められているだけ。バルコニーは万一の場合の避難通路としても使われるので、物干し台や物置の設置などは制限されている。
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