女性特有の事情とは?
前のページで、60歳代前半の老齢厚生年金は女性にお得な制度だと書かせていただきました。これは女性の方が受け取れる対象となる方が男性よりも5年多いということなのですが、これに加えて「女性特有の事情」から、女性の方に特にこの制度について理解しておいていただきたいのです。女性は男性に比べ厚生年金の加入期間が短い傾向にあります。特に60歳代前半の老齢厚生年金を受け取ることができる方の一部は、結婚前の加入期間を脱退手当金として受け取って(精算して)しまっているため、余計に加入期間が短いのです。
従って、加入期間が1年未満という方も結構いらっしゃいます。以前ご相談を受けた50代の女性は厚生年金の加入期間が10月でした。あと2月で60歳代前半の老齢厚生年金の受給権が発生することになります。
結婚するまで勤めていた期間は精算したけれど、結婚後働いた期間は精算していないケースが多いです。結婚後ちょっとだけ働いた期間がある方は多いのではないかと思います。
仮にこの方がお勤めで、退職しようかどうか迷われているとしたら、あと2カ月余計に働くことで最大5年間年金を受け取る権利を得ることになるのです。
受け取れる額はほんのわずかだが……
この1年の壁について、乗り越えることで劇的に年金額が増えるわけではありません。なにしろ加入期間が1年ですから1年分の年金しか受け取れません。平均給料が25万円として計算すると年1万7000円ほどでしかなく、最大5年間受け取れる年齢だったとしても8万5000円にしかなりません。ちょっとしたお小遣い程度とは言え、受け取れるなら受け取りたいですね。
加入期間が11月だとゼロ、12月だとちょっとしたお小遣いが受け取れることになります。加入期間が10月の方が勤めている会社を辞めようか迷っている場合、この「壁」について知っていれば、「あと2カ月働こう」となるかもしれません。
昭和41年4月2日以前生まれの女性の皆さんは特に、この「1年の壁」について知っておいて損はないと思います。
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