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値下げしたPSVitaのマズイ品薄(3ページ目)

最大1万円の値下げで販売数が伸び、店頭で品薄状態になっているPSVita。品薄というと、たくさん商品が売れていて良いイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、今回の品薄は、マズイ品薄なのです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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ハードが伸びないマズイサイクル

討鬼伝の図

コーエーテクモゲームスの討鬼伝など、マルチプレイアクションゲームで攻勢をしかけるPSVita。コンテンツの充実と共に適切な流通体制も非常に重要です

実は、ちょっと似た事例が、過去のXbox360にもありました。2008年8月に、当時はXbox360専用タイトルとして、テイルズオブヴェスペリアが発売された時のことです。テイルズオブヴェスペリアは初週約10万本で、累計約20万本、Xbox360では歴代2位のタイトルです。Xbox360本体も牽引し、店頭で本体の品薄が起こりました。その時の本体の週販が2万台強。当時のXbox360は週販で2,000~3,000台程度で推移していたため、2万を越える需要に対応できなかったのです。

マイクロソフトも、そしてお店も、テイルズオブヴェスペリアがそれ程本体を牽引すると予想していなかったということになりますが、しかし2万台強で本体が無くなってしまってはヒットのしようがありません。

ゲームハードというのは、あるきっかけでドカンと売れて、そこから勢いがついて毎週安定して販売できるようになる、というような商品です。ですから、どのプラットフォームホルダーも、そのきっかけをどうやって作ったらいいかがまずあって、その後の展開として勢いを持続させることを考えます。

しかし、製造の方はそうはいきません。ある日ドカンと売れても、ドカンと作ることはできませんし、逆に作りすぎれば不良在庫となります。今回の品薄に関しても、新モデル投入前の在庫調整ではないかとか、決算前の在庫削減の為ではないか、というような憶測も流れています。単純に足りないにしろ、調整にしろ、全体の規模が小さい為に、販売数に少し起伏がついただけで買いたい人がいるのに売ることができない、という状況には変わりありません。

売れているハードは出回っている数も多いため、少ないチャンスをどんどんものにします。一方、売れていないハードは目の前にチャンスがあっても、それに対応することができないマズイサイクルに陥ることがあります。

PSVitaは値下げとソウル・サクリファイスの投入によって、それ以前に比べれば格段に良い状況にはなりました。しかしまだ、躍進といえるには1つ、2つ足りないように思えます。それはより豊富で魅力的なゲームソフトということもあるでしょうし、需要に対応できる適切な在庫と流通体制をどうやって作っていくかということも、重要なファクターとなるかもしれません。

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