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大阪市が城東区で強度不足マンションを発表

大阪市は城東区東中浜2丁目の分譲マンションが耐震強度の基準を下回る0.6であると発表。震度6強で一部が損傷する恐れがあり、建設主に是正措置を求めています。強度不足のマンション公表は今回が初めてです。

執筆者:八木 一磨


耐震強度不足とされたアルティスタ大阪城東。今里筋に面して建っています
強度不足とされたアルティスタ大阪城東。今里筋に面して建っています

5月11日、大阪市は城東区東中浜2丁目の分譲マンションが耐震強度の基準である1を下回る0.6であると発表しました。震度6強で一部が損傷する恐れがあり、建設主に補強工事などの是正措置を求めています。

耐震強度不足と指摘されたのは「アルティスタ大阪城東」

アルティスタ大阪城東
アルティスタ大阪城東のエントランス。デザインや外観からは誰もわからないのがこういった問題の難しいところです
このマンションは大阪市に本社を置く日本リートが平成15年5月に建築確認、翌年11月に完成させた11階建て23戸の「アルティスタ大阪城東」。大阪市によれば、指定確認検査機関である日本ERIより建築確認を行ったこの物件について、誤審査、及び、建築基準法上の適合性に疑義がある旨の報告を受け、学識経験者と構造設計の専門家からなる「大阪市構造再計算検証委員会」に諮った上で、構造計算の検証を進めていました。結果、建築基準法上必要な耐震強度が確保されていないことが確認されました。

大阪市が再計算した結果は、保有水平耐力は4階部分が最も小さく、必要保有水平耐力に対する割合(Qu/Qun)は、0.61。震度5強程度の地震で要求されている耐震性能は、概ね確保されていると考えられますが、震度6強程度の地震では、耐震性能の6割程度しか確保されていない部分があるとされています。今後は、建築主等に対して、早急に建物の耐震性が確保されるよう是正計画の提出、及び、是正措置を講ずることを指示するとともに、マンションの管理組合に対して、検証結果を報告することになっています。事業主・建築主である日本リートでは、ホームページ上に「ご報告とお詫び」と題する談話を発表。事業主・建築主としての責任をまっとうすることを強調しています。

今回の強度不足は、構造計算を担当した吉田建築構造事務所が、計算ソフトへの入力数値を間違い、日本ERIは建築確認の際、そのミスを見逃したというもので、耐震偽装とは背景が異なると見られていますが、関西のマンション業界にとっては「初」ということもあり「お客様の反応が心配」(中堅不動産販売会社営業)との声も。また、大手不動産会社の社員からは「業界への不信感が増すのは辛いが、逆に知名度や信用度がある大手にとっては有利に働く」という声も聞かれました。

建築概要と担当社名
物件名称    アルティスタ大阪城東
所在地     大阪市城東区東中浜2丁目45-1、3(地名地番)
用途      共同住宅(23戸)
構造・規模   鉄筋コンクリート造 地上11階建て
延面積     1,989.02m²
建築主     株式会社日本リート
設計者     株式会社三谷滋伸建築事務所 三谷滋伸
構造設計者   株式会社吉田建築構造事務所 吉田正樹
工事施工者   株式会社ハマダ
指定確認検査機関 日本ERI株式会社
建築確認      平成15年5月6日 第 ERI 03006144号
平成16年9月22日 第 ERI 04029461号(計画変更)

次のページでは渦中の会社の概略と、何を考慮してマンションを買えばいいのかについて、まとめてみました。
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