なぜか3兄弟全員が東大合格! 「勉強しろ」と絶対言わない子育て』を執筆された後藤眞智子さんとは、本の出版前からの知り合いです。男の子のお子さん3人全員が東大生。2人まではよくありますが3人となると「これは普通ではない。何か秘密があるのでは?」と思うのが自然です。

実際にお会いしてお話を聞いてみると想像していたものとは全く違った子育てがあったのです。
 

東大に行くための教育とは? 特別なことをしない子育て

東大生を育てた幼児教育、家庭のひみつ

食卓で十分な家族のコミュニケーション

3人の東大生と聞いて、さぞかし小さい頃から早期教育に励んだではないかと思いがちです。しかし、後藤さんの子育てはその正反対だったのです。あれこれする子育てではなく、特別なことは何もしない子育て。

後藤さんご自身は7人兄弟という大家族で育ったために、特別なことをしてもらったという記憶がないそうです。だからご自分も子育てにおいて、子どもに特別なことをしてやろうと考えたこともなく、本当に普通に育てたのです。ただ、その普通が他の人から見ると少し変わっているのですが。

後藤家の夕食の場面は次のようなものです。「食事中にはテレビをつけない」決まりにして、子どもの話を聞く時間としていました。確かに幼い頃の子どもは「ねえねえ聞いて」あれこれと話したがるものです。それを全部聞いてやりました。しかし、食事中には話を聞くけれども、それが済んだら家事や自分のことをするので、子どもの話は聞かないと決めました。子どもたちにもそのように告げて。ご自分の時間を取るために、子どもが幼い頃は夜6時に、小学生でも8時には寝かせていました。

食事中には母親に話を聞いてもらえる。それが終わると寝なくてはならない。兄弟で先を争って話をしようとする食卓の様子が目に浮かびます。限られた時間であっても、母親が十分に子どもの話に耳を傾ける習慣は、真似したいものです。

 

子どもに環境を与える

お子さんはみな読書好きですが、「絵本の読み聞かせ? やったことがありません」と今の子育てとはまるで違っています。「読み聞かせは大変だから童話のテープとテープレコーダーを与えて自分で聞かせました」とおっしゃるのです。

図書館にはよく行きました。
図書館に行けば周りは本だらけ。放っておいても子どもは本を引っ張りだしてきます。気が済むまでやらせておけば、本が好きにならないはずがありません。読書しなさいと無理やり本を押し付けるのではなく、本のある環境に放り込んで、自分は好きな本を読んでいるだけ。

全てが「これをあげるから、自分でやりなさい」という姿勢なのです。実にユニークな子育てではありませんか。一事が万事「特別なことをしない子育て」どころか、「できるだけ手をかけない子育て」のようにも見えます。
 

親が手をかけないから自分でやる子どもになる

もうひとつの衝撃的なエピソード。子ども部屋というものは散らかるものです。特に男の子は玩具を出しっぱなし。普通はお母さんが我慢できずに片付けてしまうでしょう。

後藤さんもある時まではそうしていました。ところがある日「子ども部屋に入るから気になるので、入らないようにすればいい」と思い立ち、それ以後成人になって家を出て行くまで子ども部屋の掃除をしたことはありません。

「散らかっていて自分でもどうしようもないと思ったら掃除していたみたいですよ」ということで「本当に子ども部屋に入ったことがないのですか?」と尋ねたら「ありません」とのこと。

「お小遣い? あげたことはありません。テーブルの上に財布を出してあるので、それぞれが勝手に持っていきました。それで大金がなくなったり、不足したりすることもなかったので」

親は子どもができることを肩代わりするのをやめる→子どもが自分でやるようになる

なるほど、過干渉気味の子育てが増えている現代に、強烈なアンチテーゼを見せられた思いです。
 

過干渉ではなく放牧型の子育て

東大生を育てた幼児教育、家庭のひみつ

過干渉ではなく、放牧型の子育て

全く子どもまかせにしているように見えても、押さえるところは押さえていた……。

近所の中学校が荒れて窓ガラスが割られる事件が頻発すると、中学受験も視野に入れて塾にお子さんを入れます。無料テストを受けたらお子さんも気に入って週2回と負担も少なかったので塾に通い始めました。

特別この学校に入れたいというような希望はなかったそうです。荒れていない中学ならばどこでもいいという気持ち。ここにも気負いが感じられません。

また塾や私立中学に入ってからも、成績のことはお子さんに一切言わないという点が普通のご家庭とは違っています。後藤さん曰く「テストの点数が悪かった時には見なかったことにしてました」。思わず吹き出してしまうエピソードです。

息子が宿題を嫌がり学校へ行きたがらない時には、先生と直談判して「後藤くんはやってこなくてもよろしい」と許可を得ています。

良い環境を準備して、そこに放り込んだら手を離すという、牧場の柵の中では何をしても良いという放牧型の子育てに見えます。柵がまったくない放任とは違うのです。

長男が親に言われなくても自分で志望校を決めて大学まで行き、兄弟たちは上の子を見てそれに習って育ち、全員が東大卒業に至るわけです。

後藤さんはこうおっしゃいました。「上の子がしっかりしてくれたから下は楽だったです。いつも上の子を目標に育ってくれたから。3番目は周りからも東大なんて無理と言われていたのに」

あれも、これもと欲張って子どもに要求してしまいがちな現代の子育てですが、案外こうした自由度の高い子育てが、子どもの自立心を育てしっかりさせるのではないでしょうか。そこには子育ての本当に大事なポイントがあるような気がします。
 

※上記データは記事公開時点のものです。

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