次にご紹介するのはこの一枚です!
ラヴ・アフェア
個性派アルトサックス奏者ゲイリー・バーツのCD「ラブアフェア」
<「ラブアフェア」よりオススメベスト二選>「ペネロペ」(エーゲ海の真珠)
このCDでは、何と言っても二曲目「ペネロペ」(エーゲ海の真珠)から聴いてみてください。出だしのピアノの和音からゲイリー・バーツのアルトサックスがルバート(テンポは変えずに、ある程度自由に演奏する事)でイントロ(出だしの前奏)を情熱的に奏でます。ストリングスやハープなども絡んできて、何かが起こる期待感が高まります。そして、ついに有名なメロディがサックスにより奏でられます。この曲「ペネロペ」は、別名が「エーゲ海の真珠」と言い、イージーリスニング音楽の世界では知らない人はいないと言われる「ポール・モーリア楽団」の十八番。同楽団の「恋はみずいろ」や「オリーブの首飾り」と同様、世界的にヒットした哀愁漂うメロディです。もしかしたら、あなたもどこかで聴いた事があるかもしれません。
その有名なメロディをゲイリー・バーツは艶やかに演奏しています。エレキベースのチョッパー奏法(スラップ奏法とも言い、ベースの弦を指ではじいてリズム感を強調した奏法。「ンベンベッ」と言う風に聞こえる)が、サスペンスタッチを感じさせ、ドラマチックな雰囲気を醸し出しています。この曲をバックに見つめ合うお相手は、きっと紺碧のエーゲ海のように神秘的な表情を湛えている事でしょう。
「ジャイアントステップス」
六曲目「ジャイアントステップス」を聴いてみましょう。この曲は超有名サックス奏者ジョン・コルトレーンの出世作。コルトレーンが自身研鑽を積んだオリジナルの難しいコード進行(楽曲におけるコード・和声の流れのパターン、普通はある程度決まった自然な流れになっている)で出来ている難曲です。ジャズの世界では、腕自慢の演奏家がこぞって演奏している有名曲です。ゲイリー・バーツは、クラシックで例えるならばショパンのエチュード(練習曲)とも思えるハードな曲調を、ストリングスをバックにあくまでスタイリッシュに演奏しています。曲中ドラムは16ビートで一定の決まったリズムを続け、その上に乗ったサックスの静かな出だしから次第に熱を帯びて行く様が興奮を誘います。情熱的でハッピーなお二人にピッタリの音楽と言えます。
もしこのゲイリー・バーツの「ジャイアントステップス」が気にいったのなら、本家ジョン・コルトレーンの演奏はもちろん、他の演奏家のこの曲も探してみてください。おそらくはそのどれもが、力の入ったある意味鬼気迫る演奏ぞろいで、あまりの雰囲気の違いに驚いてしまうかもしれません。
その上で再度ゲイリー・バーツに戻ると、彼の良い意味での力の抜け具合に気がつくはずです。こうしたところもジャズの楽しみ方の一つです。どんどん、自分たちだけのお気に入りの演奏を見つけて行ってくださいね。
三枚目に聴いてほしいCDとそのストーリーについては、次のページで紹介します。
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