不動産売却・査定/不動産売却の流れ・基礎知識

一般媒介のメリットとデメリット(2ページ目)

一般媒介のメリットとデメリットについて説明を受ける機会もあまりないのではないでしょうか。というわけで、今回はあまり一般的ではない一般媒介のメリットとデメリットについて突っ込んで解説していこうと思います。

楯岡 悟朗

執筆者:楯岡 悟朗

土地活用・不動産査定ガイド


一般媒介締結のデメリット

1.複数の不動産会社が窓口になることで、同じ物件が消費者の目にさらされることになる

短期間であるなら良いですが、3か月以上、同じ物件情報が複数の会社から出されていると、それを見た消費者は、「良く目につく物件」=「なのに売れてない物件」=「問題物件・不人気物件」という論法で勝手に判断します。希少価値が感じられなくなると、売れ行きが悪くなるのは不動産でも一緒です。情報をたくさん出せば出しただけ良い、という一昔前のような広告戦略はいまや通用しません。

2.不動産会社同志による足の引っ張り合い

媒介契約中の不動産会社が、互いに他社の動きをけん制しながら動くため、成約に至るための提案や値引き交渉をしてきません。なぜなら、自分のところで値下げの提案を行って、その結果、値下げした金額で他社で決まってしまっては、その会社の成約をアシストした結果になってしまうからです。

また、仮に値下げの提案をしてきた会社があったとしても、ライバルに良い格好して欲しくないために、また印象で負けたくないために「まだちょっと早いんじゃないんですか? 当社では問い合わせがまだまだ来てますよ」と、反対してくる場合もあります。

専属や専任に見られるような、自社で買い手さんが見つかるまで他の不動産会社に物件を一切紹介せず、実際に他社からの問い合わせや案内依頼があるにもかかわらず、案内や問い合わせが一切ないといって金額の値下げを誘引する、といった囲い込みの心配はありませんが、こうした足の引っ張り合いがデメリットの一つです。

3.積極的に動かない

専属専任・専任媒介のメリットの一つして、「不動産会社が責任感に駆られて一生懸命動く」というのが挙げられます。反対に一般媒介ではすぐに売れない物件だと分かると、どうせ余所もやってるからと、積極的に販売活動を行わないところが多くあります。広告を出したりするにも費用は掛かりますし、出した結果、他社で決まってしまっては、その広告費用の回収も出来ません。従って、費用がかかる積極的な販売活動や手間のかかる売却活動を控える傾向にあります。

一般媒介締結の注意点

メリットよりもデメリットの方が多くなってしまいましたが、もちろん一般媒介でも、専属や専任の時と変わらず一生懸命活動する不動産会社はあります。全ての不動産会社が当てはまるという訳ではありません。

一般媒介だからこそのメリットを実感できるのは、販売を開始して1か月程度です。しかし、1か月そこらでは売れずに、じりじりと焦りだしたときに陥りやすい考えが、「あれだけの不動産会社に声をかけているのになんで?」「ひょっとしたらもっと声をかけた方がいいのではないか?」というものです。

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営業マンに気持ちよく動いてもらうための配慮も必要です

こうした考えは全くの間違いです。一般媒介で多数の会社から出ている物件のことは、当然どこの不動産会社も知っています。「のべつまくなし声をかけている物件の売主さん」として、マイナス面で有名になってしまいます。そうなってしまうと、たとえ声をかけたとしても、形ばかり依頼を受けるだけでどこも一生懸命販売しない、ということになりかねません。何社にも依頼することは出来ますが、お願いするにしてもせいぜい3社程度に収めておくのが良いでしょう。

ですから、ここは逆転の発想が必要です。つまり依頼をした複数の不動産会社のうち、一番マメに行動し報告してくれた一生懸命だった会社に、専属専任・専任媒介に切り替えるのです。他社との競業にも関わらず一生懸命動いてくれた実績がありますし、不動産会社はその実績を売主が認めてくれたと意気に感じて、より一層力を入れて販売してくれることでしょう。

売主さんがこうしたメリットとデメリットを理解しておくことが、何より重要なのではないかと思います。
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