ヘンボゴはハンバーガー?韓国語の外来語の発音を学ぼう
日本式発音でそのまま言って通じることもありますが、そうでない場合ももちろん多いですし、「綺麗な韓国語の発音を目指したい」という方は特に、外来語の発音も韓国語らしい発音になるよう意識して欲しいものです。「韓国語らしい外来語の発音」はどうやったら手に入れられるのでしょうか。
韓国語の外来語の発音はどう決まるか
日本語の外来語の発音とは随分違います
日本語は韓国語に比べ、母音の数も子音の数も少ないですから、外来語を表す音の数も自然と韓国語よりは少なくなります。よって、日本語の外来語を韓国語の外来語に置き換えようとすると、「ア」が「ㅏ」や「ㅓ」になったり、「ウ」が「ㅜ」や「ㅡ」になったりするわけです。
といっても、韓国語の外来語を話すとき、「原語の発音記号はこうだから、韓国語はこの音だ!」なんてことはあまり考えられませんよね。そこで、日本語の外来語を韓国語にするときに知っておきたい法則、コツをいくつかご紹介します。これだけでも、随分「日本語式発音」から、「韓国語式発音」に変わると思いますよ。
【韓国語の外来語の発音法】母音に関する大きなポイント
★「コンピューター」「ハンバーガー」など、最後の「ア行音+のばす音」のは、「ㅓ」の母音になる「ア行+のばす音」は、日本語の外来語の中で目立つ形の一つです。こちらはたいてい、韓国語にするときは「ㅓ」の母音を当てはめます。よって、
「コンピューター」→「컴퓨터(コムピュト)」
「ハンバーガー」→「햄버거(ヘンボゴ)」
となります。最後が「ㅓ」の母音になっているのがお分かりでしょうか。ちなみに、韓国語には基本的に日本語の「長音(のばす音)」はないと考えて良いでしょう。
★「ㅔ」になるのか「ㅐ」になるのか、その見分け方
韓国語の「펜(ペン/ペン)」と「팬(ペン/ファン)」。発音は同じ「ペン」なのに、それぞれの母音は「ㅔ」「ㅐ」と、違っています。なぜこうなるのでしょうか。
それは先ほど触れたように、「発音記号が違うため」です。「pen(ペン)」の発音記号は[pen]と、韓国語の「エ」の音にあたる部分は「e」という発音記号ですね。一方、「fan(ファン)」の発音記号は[fæn]と、韓国語の「エ」の音にあたる部分は「æ」という発音記号です。よって、韓国語では同じ「エ」の音でも表記が変わってきます。
これは発音記号でなく、日本語から考えても分かりやすいかもしれません。例えば、「’タクシー’の韓国語の綴りは텍시だったかな、택시だったかな」と思ったとき、日本語で「タ(ア行)クシー」となっているから「택시」かな、と発想することができます。
一方で、「テニス」の韓国語の綴りは「테니스だったかな、태니스だったかな」と思ったとき、日本語で「テ(エ行)ニス」だから「테니스」かな、と発想することができるのです。
また、外来語の固有名詞の「エ行」は「ㅔ」で表すということが外来語表記法で定められています。よって、地名や人名の韓国語「エ」音は基本的に「ㅔ」を書きます。例を挙げると「마에다 겐지(まえだけんじ)」「텍사스 주(テキサス州)」などですね。
【韓国語の外来語の発音法】子音に関する大きなポイント
★「f」は、「ㅍ」になる対応表で、韓国語の外来語発音を極めてみましょう!
★基本的に「カ行、タ行、パ行、チャ行(k, t, p, ch)」は「ㅋ, ㅌ, ㅍ, ㅊ」、「ガ行、ダ行、バ行、ジャ行(g, d, b, j)」は「ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅈ」、で対応する
例えば、
「カメラ(camera)」→카메라(カメラ)
「タワー(tower)」→타워(タウォ)
「パワー(power)」→파워(パウォ)
「チャンス(chance)」→찬스(チャンス)
など、原語の「k, t, p, ch」は、ハングルの「ㅋ, ㅌ, ㅍ, ㅊ」を対応させるのに対し、
「グリーン(green)」→그린(クリン)
「デスク(desk)」→데스크(テスク)
「バス(bus)」→버스(ポス)
「ジョブ(job)」→잡(チャプ)
など、原語の「g, d, b, j」は、ハングルの「ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅈ」を対応させます。以上は分かりやすいように、語頭に来る場合のものを例に挙げましたが、以下のような語中でもそのように対応させます。
「マスク(mask)」→마스크(マスク)
「アーティスト(artist)」→아티스트(アティストゥ)
「ラブ(love)」→러브(ロブ)
「キッズ(kids)」→키즈(キジュ)
ちなみに、「キャップ(cap)」→「캡(ケプ)」や、「ホット(hot)」→「핫(ハッ)」など、語末「p」や「t」の前が短母音の場合は、それぞれのハングルは「ㅍ」「ㅌ」でなく、「ㅂ」「ㅅ」が対応します。
また、外来語表記法では、原則として外来語に濃音(ㄲ, ㄸ, ㅃ, ㅆ, ㅉ)表記は使用しないことになっています。
【韓国語の外来語の発音法】その他のポイント
★日本語は外来語でも、韓国では漢字語を使用しているケース「サッカー」は「축구([蹴球]チュック)」、「バスケットボール」は「농구([籠球]ノング)」など、日本語は外来語を用いていても韓国語では漢字語を使うケースは少なくありません。また「コピー」なども「카피(カピ)」という言い方をしたりもすれば、「복사([複寫]ポクサ)」と言ったりもします。
★韓製英語もある
例えば、韓国で「투잡(トゥジャプ)」という言葉が使われていますが、これは「two job」から来ているようです。意味は「サイドビジネス」で、英語では「side business (job)」ですね。
★あくまでも原則
先ほど、「外来語の表記に濃音は使わない」と申し上げましたが、実際は使われているケースも多く見られますし、「비즈니스(ビジュニス/ビジネス)」を実際は「비지니스」と書いたり発音したりする人も少なくありません。基本はおさえながらも、必ずしも100%の韓国人がそれを使っているわけではない、と柔軟な考えを持ちたいものです。
以上、今回はごく一部の規則について取り上げてみました。これらのことが分かっているだけでも、話すとき、書くとき、随分役に立つのではないかと思います。
また、拙著『シゴトの韓国語 応用編』、第4章「アルファベットの聞き取り、外来語のしかたを身につけましょう」の42~44ページにさらに詳しい、母音、子音の対応表を掲載しています(出典:『韓国語ジャーナル』21号・22号「もっと誤用にご用心」/執筆:山下誠・尹貞源)。韓国語の外来語の発音をもっともっと良くしたい! という方はぜひご覧ください。
【関連記事】