太陽光発電システムの設置費用(既設) 全国平均で1KWあたり約52万円
中古マンションも「創エネ」の時代!太陽光パネルの設置を管理組合で検討してみよう。
太陽光発電普及拡大センターの資料によると、太陽光発電システムの設置費用(既設)は全国平均で約52万円/キロワットだそうです。2007年度の実績で70万円/キロワット(経産省)だったことを考えると、かなりコストが下がっているのが分かります。
検討の際、どうせ設置するなら出来るだけ発電量を大きくしたいと考えがちですが、国からの補助金交付を受けるには、発電システム容量が10キロワット未満である必要があります。そのため、むやみにパネル数を増やすことは得策ではありません。
自宅マンションに仮に9.9キロワットのソーラーシステムを設置したとすると、9.9キロワット×52万円=514万8000円となり、設置費用は約515万円かかる計算になります。この金額にはパネルの本体価格のほか、工事費も含まれています。
なお、この「10キロワット未満」という条件は大規模な分譲マンションでも小規模な分譲マンションでも変わりません。一律に決められています。そのため、特に大規模マンションの場合など、10キロワット以上の発電システムを設置しようとすると、補助金を断念しなければなりません。実に悩ましい選択です。
9.9KWの太陽光発電システムを設置 約16年で初期投資コストの回収が可能
では、ここから収支計算に挑戦してみましょう。自宅マンションに9.9キロワットのソーラーシステムを設置したことで、どれだけの電気を発電するか?―― 太陽光発電システムは出力1キロワットあたり年間で平均1000~1300キロワット時の発電量とされるので、システム容量が9.9キロワットの場合、年間発電量は9900~1万2870キロワット時となります。自宅マンションの規模を総世帯数70戸程度の中層マンションと仮定し、共用部分の電気使用量が年間5万5000キロワットだとすると、太陽光パネルからの年間発電量9900~1万2870キロワット時を差し引いて、管理組合の実質的な消費電力は年間4万5100~4万2130キロワットとなります。
東京電力の家庭向け電気料金の平均単価は約25円なので、これまでは年間およそ140万円(年間使用量5万5000KW×単価25円)だったマンション共用部分の電気料金が、太陽光パネル設置後は約110万円(4万5100KW~4万2130KW×単価25円)となり、年間およそ30万円のコストダウンが可能になります。
国からの補助金として、1キロワット当たり3万~3万5000円(2012年度)が支給されるので、9.9キロワットのソーラーシステムを設置した場合、管理組合は約32万円(3万~3万5000円×9.9KW)の補助金を受け取れます。
以上より、整理すると太陽光パネル設置費用として約515万円かかり、補助金として約32万円が管理組合に交付。共用部分の電気料金が年間30万円コストダウンできるので、最終的に約16年で初期投資費用(約515万円)が回収できる計算になります(下図参照)。自宅マンションの築年数によって、16年は長くも短くも感じることでしょう。
しかし、中古マンションでは管理組合がすべて自力で行なわなければなりません。とても手間がかかります。それだけに、きちんと収支計算をしたうえで、判断しなければなりません。太陽光パネルの設置を検討中の管理組合の皆さんは、本コラムを参考に「費用」対「効果」の試算を忘れずに行なってください。