レストランのジビエとして出回るシカ・イノシシの肉
イノシシ肉も、ボタン鍋に限らず西洋料理のレストランでもいただけるようになりました。
近年、野生のシカやイノシシが増え、農作物等をあらす原因となり、捕獲した野生獣の肉をジビエとしてレストランで、あるいは加工品として普及を図る活動が始まっています。
シカ肉は、野山を駆け回るため低脂肪で高たんぱく質で、またシカとイノシシどちらも、牛同様に鉄分や亜鉛も豊富なことは、これまでも知られていましたが、他の機能性成分はほとんど研究がされていませんでした。
福岡県畜産課の報告で、シカやイノシシの肉には、脂肪燃焼や疲労回復に効果がある機能性成分が、豚肉よりも多く含まれていることがわかりました。
脂肪燃焼や疲労回復に関わる成分が豚肉より豊富
福岡県サイト(福岡県農業総合試験場)によると、シカ肉とイノシシ肉で注目される成分として、カルニチンとアンセリンがあげられています。カルニチン(L-カルニチン)は、筋肉内の脂肪酸代謝(脂肪の燃焼)によるエネルギー産生に必要不可欠な物質。ダイエットや運動時の持久能力増大など運動能力を向上する作用があるのではないかと考えられ、また循環器系の効果も期待されています。加齢ととも体内での合成量が減ってくることは知られています。
調査の結果、イノシシ肉には一般的に多いとされる牛肉と同等のカルニチンが含まれ、シカ肉は豚肉の8倍近く、イノシシ肉は豚肉の3.6倍含まれていることが判明しました。
アンセリンは、強い抗酸化作用があり、近年疲労回復作用などで注目されています。食事から体内に取り込まれた後2種類のアミノ酸に分かれ、さらに骨格筋に移行後再合成されます。
疲労回復効果、運動持久力向上やアンチエイジングに関わる作用があるアンセリンは、獣肉に多く含まれ、特にシカ肉のアンセリン量は豚肉の11倍、イノシシ肉は豚肉の3.6倍含まれていることがわかりました。
これは、あくまで福岡県シカ肉と福岡県産イノシシ肉との比較ですから、例えば他県のシカ、イノシシの肉では異なる数値が出てくることもあるかと思います。またいくら機能性成分が多く含まれているとはいえ、ダイエットなどの効果はまだ明確ではなく、どれだけ食べれば効果が出るといったところも明確になっていませんので、過大な期待や偏った食べ方などはしないようにしてください。