ガーデナーの「あー、あるある」
ガーデニングでコミュニケーションも
庭仕事をしていると「こんにちは! いつもきれいにしているわねぇ」と、ご近所の方が声をかけてくることも、しばしば。ベテランガーデナーともなると「こっちの寄せ植えも素敵ね」と、さかんに褒めてくれたり、「これ、家にもあるんだけど、なんだか元気がないの」と相談を持ちかけられることもあるでしょう。
親しくなった方とは、「これ、家でも植えてみたいんだけど、良かったら分けてくれない?」とお願いされたり、中には増えすぎて困っている宿根草などを、「良かったら、もらってくれない?」と里子に出しているガーデナーも少なくないと思います。
この程度の話はガーデニング好き、花好き、葉っぱ好きな方には「あー、あるある、こんなこと」と頷ける日常の1コマではないでしょうか。でも、こんな良くある話の中にも、実は危険が潜んでいるってご存知でしたか?
「あるある」が危険?
自家栽培で、たくさん苗を育てたけど……
Aさんは、ご近所でも花好きで有名です。毎年のようにどこからか新しい植物を入手しては、熱心に手入れをされています。そんなAさん、今年は○社の△という新品種の花に挑戦!手入れの甲斐があって、苗は順調に育っていきました。
「そうだ、挿し芽でもっと殖やせるかも……」ふと思い立ったAさん、さっそく切り戻しをして挿し芽に挑戦し、これも見事に成功しました。親株はすくすく成長し、やがて美しい花をたくさん咲かせました。挿し芽の方も、立派なポット苗に生長しています。
ちょっと待って!それって大丈夫?
「あら、良いの? 嬉しいわ! でもタダじゃ悪いから、お金払うわ」とBさん。Aさんはとんでもないと断りましたが、「いいの、いいの土代よ!」とBさんは苗の代わりにお金を置いていきました。その後、Bさんの話を聞きつけた友人知人から「私にも!」と言われ、請われるままに件の苗を譲ってしまいましたが……。
いかがでしょう? これもよくありそうな話ではないでしょうか。でも、実はこの事例、場合によっては法律違反で処罰されることになるかもしれないんです!
これって法律違反だったの?!
うまく殖やしたら、みんなにも分けたいよね
そして新品種が生み出されると、個体ごとに品種登録をする制度があるのです。この法制度を、「種苗法(しゅびょうほう)」と言います。この法律により育成者の権利が保護されるため、育成者はさらなる改良に励むことができるというわけです。
問題は、この種苗法では品種登録種苗(登録申請中も含む)の植物を無断で殖やして他人に譲渡することは禁じられている点です。つまり、前項で挙げたような例は、この種苗法に抵触することになってしまうのです。