そもそも「誰の顔も見たことがない」のに?
新聞記事は他人事?
また、消費者はかかってきた電話の相手が言うことを信用してしまっています。ちょっと待ってください。相手は勝手に名乗っているだけで、それが事実かどうか確認していません。もちろん顔も見ていません。つまり、被害に遭った人は、情報をくれた人たちのことを誰一人として疑っておらず、むしろ信用してしまったが上の結果です。誰の顔も見ていないのに、電話口で聞いた話を信用したからこその被害なのです。
子どもの防犯対策でよく言われる、「知らない人と口をきいてはいけません」「知らない人に付いて行ってはいけません」というフレーズを思い出しましょう。そう子どもに言って安全を言い聞かせる大人が、顔も見たことがない、一方的にかかってきた電話やパンフレットを信用して被害に遭った……というのは、子どもに対してあまりにも説得力がありません。子どもにも言い聞かせるような安全の原則ともいうべき、「知らない人の言うことを信用してはいけない」ことを忘れてしまうと、お金を奪われたりする危険に遭遇するということなのです。
誰が被害を防げるか?
知らない人がいきなりやってきて「お金を出せ」と言われて、黙ってお金を出す人がいるでしょうか? 見も知らぬ人、顔も見たことのない人の言うことを信用する人がいるでしょうか? 「劇場型」と呼ばれる勧誘スタイル、何人もの人が「買え、買え」と言い募ってきたことに負けて、信用してしまって、お金を奪われる……そんな被害に遭いたい人はいないでしょう。しかし、老後の資金を少しでも豊かにしたい、と考えている高齢者にとっては、魅力ある提案に聞こえてしまうのでしょう。世間の情報に疎い高齢者は、「国民生活センター」のホームページを見ることもないでしょう。しかし、周囲に少しでもこうした被害に詳しい人がいたら、「こういう事件が起きていますよ。どうか気を付けてくださいね」と、忠告していたら、あるいは被害に遭わずに済んだかもしれません。いくらチラシに書いてあっても、新聞記事を読んでも、「それは他人事」であって、自分のこととは思わない人が多いでしょう。やはり「口コミ」すなわち人が口伝えで教えてあげることが何よりも被害を防ぐ効果があるはずです。そして、「見知らぬ他人の言うことを安易に信用してはいけない」という原則をしっかり守ることが大切な老後の資金、預貯金を守る秘訣なのです!