和菓子薫風
千駄木にオープンした「和菓子薫風(くんぷう)」。季節の国産果実と餡が楽しいハーモニーを奏でる「どら焼き」は、他にはないここだけの味!薫りを楽しむ「和菓子薫風」
2012年7月に千駄木にオープンした「和菓子薫風(くんぷう)」。オーナーは、企業のメニューコンサルタントをする傍ら、和菓子の新製品開発や卸など、和菓子プランナーとしても活躍してきたつくださちこさん。どら焼きや焼き饅頭(まんじゅう)に焼芋きんつば、注文により上生菓子などを持ち帰りできるほか、カフェスペースでは作り立ての甘味と共に、日本茶や中国茶、日本酒、地ビールが楽しめます。
店名は、つくださんの好きな禅語「薫風自南来」から取ったそうですが、加えて素材の香りを大切にしたいという気持ちも込められているとのこと。ふっくらと炊けた餡は小豆の風味が生きていて、果実はそのまま頂く以上に香り豊か。付き合いのある全国各地の農家から直接仕入れる良質の素材と丁寧な手仕事の賜物です。
果実と餡の共演「どら焼き」
和菓子薫風の主力商品は「どら焼き」。もっちりふっくらとした皮に、北海道産大納言小豆の粒餡と季節の果実の砂糖煮を挟んだもの。出来立ては餡と皮、果実それぞれの個性がはっきりしていますが、1日置くと全体が馴染み一体感が生まれます。私が訪ねた冬の最中に作られていたのは、「国産レモン」「ライム」「紅玉りんご」「甲州ぶどう」「洋なし」の5種類。いずれも甘い餡とのバランスを考え、低糖度で砂糖煮にしたものを使っています。
餡に乗る砂糖煮の量はさほど多くないにも関わらず、口に含むと豊かな香りと果実味が広がります。中でも私が感動したのはレモン。程好く弾力のある皮とコクのある餡からなる力強いどら焼きが、レモンの酸味と香味、柔らかな甘みが加わることで軽やかに。印象ががらりと変わり驚きます。
レモンは「青いレモンの島」をキャッチフレーズに掲げる愛媛県の離島、岩城島で採れたものを使います。大人の握りこぶしよりも大きな無農薬レモンで作った出来立ての砂糖煮を味見させていただきましたが、フレッシュ感を残した仕上がりで、気品のある芳香と爽やかな酸味と甘みが印象的でした。
カフェで楽しむ出来立ての甘味とお酒とお茶
カフェでは作り立てにこだわります。メニューは季節により変わりますが、寒い季節であれば、客が自ら網で焼く団子や玄米餅で楽しむ焼き団子やぜんざいがおすすめ。「玄米餅のあったかおぜんざい」は、大粒の小豆をふっくらとろりと煮て、皮付きの紅玉りんごの砂糖煮を添えたもの。自分で焼いてのせる玄米餅は、玄米ならではの甘い香ばしさが魅力です。甘酸っぱく香り高い紅玉の持ち味が、熱々の餡と合わせることで花開き、華やぎのある一皿に。こっくりとした甘さのぜんざいにりんごの甘酸っぱさが効いています。
蔵元へ赴きお酒を仕込むほど日本酒に造詣の深いつくださん。棚には和菓子との相性を考えて選りすぐった10数本の日本酒がずらり。
加えて中国茶も充実しています。今回はぜんざいに合わせて「阿里山金萱茶」(ありさんきんせんちゃ)を選択。ほのかにミルクのような香りがし、香りや味わいに癖がなく、小豆の香りを引き立てます。
興味と人脈の広さを生かし、丹波大納言小豆で知られる兵庫県・丹波へ小豆の収穫へ行ったり、岐阜県の「飛騨山乃村(ひだやまのむら)」でワラビの根を収穫してワラビ粉作りに挑戦するなど素材の探求に余念のないつくださん。消費者には確かなものを届けたいからと納得できる素材だけを使った温もりあふれる手作り和菓子、食べてみたくなりませんか。
<店舗情報>
■和菓子薫風
所在地:東京都文京区千駄木2-24-5-1F
東京メトロ千代田線 団子坂方面出口より徒歩3分
※出口右折、30mほど直進「コムガーデン」を右折、一本目の通りを越えた左側
電話: 03-3824-3131
営業時間:13:30~18:00(L.O.17:30)
席数:8席
※19:00からはカフェスペースにて、和菓子教室や中国茶教室、シュガークラフト教室などが開催されます。内容は直接店舗へお問い合わせ下さい。
定休日:水曜定休、土日不定休