コーヒーに含まれる成分にIGF-1を増やす効果が
コーヒーが薄毛を予防する理由とは?
そのメカニズムを説明するため、まずは次の事実を読んでください。
- IGF-1には、インスリンというホルモンに類似した糖尿病改善作用がある
- 長年にわたって1日6杯以上のコーヒーを飲む人は、糖尿病にかかるリスクが低いことがわかっている
- IGF-1には、脳の認知機能の中枢である海馬の神経細胞を活性化し、その再生を促進し、認知機能を改善する作用がある
- 毎日コーヒーを飲む人は、高齢になっても認知機能が低下しにくい
2と4の健康効果があらわれた背景には、コーヒーに含まれるポリフェノールである「クロロゲン酸」が重要な役割を担っていると考えられています。これまでは、クロロゲン酸の抗酸化作用が健康効果をあらわすために重要だといわれていたのですが、詳細なメカニズムは不明でした。
そこで私たちは、1と3の事実もふまえ、コーヒーの健康効果は「クロロゲン酸によるIGF-1増加作用が原因なのではないか」と考え、クロロゲン酸の知覚神経刺激作用を調べてみました。すると、IGF-1を増やす効果がある、カプサイシンに似た刺激作用があることを確認したのです。
さらに、マウスにクロロゲン酸を投与したところ、脳の海馬のIGF-1が増加し、認知機能が改善しました。
というわけで、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は体内のIGF-1を増やし、さまざまな健康効果を発揮することがわかったのです。もちろん、IGF-1を増やすのですから、抜け毛・薄毛予防、発毛・育毛の促進も期待できます。
飲むならアメリカン。その理由は……
ただし、ここでひとつ注意点を。クロロゲン酸は熱に不安定な性質があるため、コーヒー豆を深く焙煎すると、それ自体が壊れる可能性があります。したがって、コーヒーを飲むなら、クロロゲン酸がたくさん残っている浅煎りしたコーヒー豆が理想的。浅煎りの豆で淹れたコーヒー、すなわちアメリカンが抜け毛・薄毛予防にオススメというわけです。薄いアメリカンで、薄毛予防。ちょっと皮肉な感じですが、私の研究ではこれでOKでした。
苦いチョコレート、薄いアメリカンコーヒー。いずれも日常的に、そして手軽に試せます。ぜひあなたも挑戦してみてください。