というのも、香水にはその香りを具現化する明確な人物像があったり、確固たるストーリーがあるから。そのイメージに自分を当てはめることで、「こういう人になりたい」、「こんなキャラで生きたい」という希望をサポートしてくれます。
しかも、嗅覚は人間がもつ五感のうち、その情報を脳が認識するという唯一の感覚。だから、香水がもつ人物像をイメージしながら、香りを身につけることによって、自分の意識や記憶に“自分が求める理想像”をしっかりと刻むことができるのです。
選びたい香水は前述したように“目指す人物像”や“共感できるストーリー”をもつ製品ですが、個人的におすすめしたいのはあなたがいままで身につけたことがない香りや、ふだんなら絶対に選ばない香調。
もちろん、あまりにも好みとかけ離れている香りや、まったく同調できないタイプは外すべきではありますが、自分とはなじみがない香りであるほどに、意識の変革レベルが高まるからです。
日中も楽しみたい”夜の香り”
たとえば、あなたが柑橘系やフローラルの香りが好きであれば、”夜”をテーマにした香りを選んでみるのも手。シャネルのココ ヌワール オードゥ パルファム は、ベルガモットの華やかさとバニラの濃厚な側面が匂いたつ、センシュアルな魅力が特長。
あなたのハートの奥底にある濃密な部分が表にさらけ出されるような、そんな力強さがある香りです。マドモワゼル・シャネルが”生涯の恋人”と呼んだボーイ・カペルの死がきっかけとなり訪れた街、ヴェネチアの夜の情景や官能性、そして前進しようとする情熱のすべてが詰まった香りで、あなたの心に力強さを与えてくれるでしょう。
もう1品、アニックグタールのニュイ エトワーレ オードトワレは星降る夜の冷たさと木々のやさしいぬくもりが同居した香り。シトロンやスィートオレンジなどさわやかな柑橘に、バルサムモミ、アンジェリカなどスパイシーさやウッディがブレンド。
コンセプトが「真冬の冴えた森」というだけあり、透きとおるようなウッディノートがとても独創的。「冷静さを取り戻したい」、「もういちど自分を見つめ直したい」など、内省を促すような香りとも言えるでしょう。柑橘系な香りが好きな人には取り入れやすい香りです。
自分の意識だけでなく、周囲の印象にも変化を与えてくれる”変革フレグランス”。いままでの自分のイメージや印象にギャップを加えるためにも、チャレンジングな1本を選んでみましょう。
■DATA
アニック グタール ニュイ エトワーレ オードトワレ 50ml 1万5200円(税抜)/ブルーベルジャパン
ココ ヌワール オードゥ パルファム(ヴァポリザター)50ml 1万3000円(税抜)/シャネル