睡眠関連冠動脈虚血とは

睡眠関連冠動脈虚血

睡眠中に胸が苦しくなるのは、金縛りだけではありません

心臓の筋肉に栄養を供給する血管を「冠動脈」といいます。狭心症や心筋梗塞で、冠動脈が細くなったり詰まったりして、血液が流れなくなる状態が「冠動脈虚血」です。特に、睡眠中に起こるものを「睡眠関連冠動脈虚血」と呼びます。

冠動脈虚血は、体の運動量が増えて心臓に負担がかかる、起床後から午前中に多く起こります。一方で、睡眠中に血圧や脈拍が不安定になると、心筋梗塞を起こしたり、突然死することもあるのです。

日本でどのくらいの人が睡眠関連冠動脈虚血を起こしているかは、まだよく分かっていません。しかし、睡眠関連冠動脈虚血を起こしやすいタイプの狭心症は、日本人に多いとされています。

睡眠関連冠動脈虚血の原因

睡眠関連冠動脈虚血は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群との関連が深いとされています。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何回も窒息を繰り返しているのと同じ状態になります。そのため、無呼吸の間は心臓の筋肉に、十分な酸素が供給されません。

さらに、血液中の酸素が少なく二酸化炭素が多い状態では、動脈がギュ~ッと細くなりやすく、心臓の筋肉への血流が減ります。また、無呼吸の後には、脈拍数や血圧が上がるので、心臓に必要な酸素の量が増えてしまいます。

体が休んで脳が記憶の整理などを行う時間であるレム睡眠中は、血圧や脈拍が大きく変動しやすくなります。そのため、心臓に負担がかかって狭心症や心筋梗塞を起こすことがあります。高齢者や糖尿病の人、薬の副作用などで自律神経の失調がある人は、冠動脈の血圧レベルを適切に保ちにくいため、冠動脈虚血を起こしやすくなります。

睡眠関連冠動脈虚血の症状

胸痛

胸の痛みで目覚めるなら、医師に相談をしましょう

特徴的な睡眠関連冠動脈虚血の症状は、目覚めさせるほど強い胸の痛みや圧迫感、不整脈、呼吸困難などです。痛みや圧迫感は、アゴから腕、特に左腕にまで広がることもあります。普通はかなり強い痛みですが、高齢者や糖尿病にかかっている人は痛みを感じにくくなっているので、症状がないこともあります。

症状が起こる時間帯は、虚血の原因によっていくつかに分かれています。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に合併した睡眠関連冠動脈虚血は、呼吸が止まって血液中の酸素の量が最も減った時に起きやすくなります。

レム睡眠中の「自律神経の嵐」と呼ばれる血圧や脈拍が不安定な時に起こるものは、レム睡眠が多い早朝によく起きます。冠動脈の収縮は、過換気や副交感神経が優位なときにも起こるので、睡眠早期から繰り返されることもあります。

睡眠関連冠動脈虚血の治療と予後

睡眠関連冠動脈虚血は、太った中高年の男性によく見られます。肥満がある人は、すぐ減量に取り組みましょう。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、マスクから圧力をかけた空気を肺に送り込む経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP)を行うと、冠動脈虚血がなくなったり軽くなったりします。

薬では、血圧を下げる働きがあるカルシウム拮抗薬(きっこうやく)が、主に使われます。すでに高血圧の治療薬を飲んでいる場合は、薬の種類や飲むタイミングを変えると良いことがありますから、主治医の先生に相談してみてください。

睡眠関連冠動脈虚血を放置しておくと、急性心不全や虚血性弁膜症、肺水腫、不整脈、心筋梗塞などの死に至る状態になることがあります。眠っているときに胸が痛くて目覚める人は、早めに睡眠や心臓の専門医の診察を受けることをお勧めします。

【関連サイト】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠のメカニズムとリズム
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