勇ましいサウンドはオープンならでは
クーぺのMY13モデルと同様のパワートレインを採用。0-100km/h加速もクーぺと同じ3.1秒となる。最高出力624ps/最大トルク600NMを発生する3.8リッターV8ターボを搭載、7速デュアルクラッチトランスミッションのSSGが組み合わせられた
予想どおりなのに驚かされたのは、やはり、その乗り心地の良さ、だった。屋根の“はり”が取れてクーペよりわずかに心地いい、と思うのがこの手のロードスターの常。それが12Cの場合、クーペと変わらずいい、というほかなかった。
路面との入出力が、よくできた専用チューンのピレリタイヤを通じて、サスペンション、シャシー、そして強固なモノセルボディへと素早く、スムースかつ素直につたわっていく。まるで車体が一体の“ダンパー”となって、全ての外乱を受け止めているかのようだ。12Cに乗るといつも想像してしまうのが、まるでデフォルメした漫画のクルマのように、車体が前後左右上下に曲がりくねって路面に対応する姿、なのだが、今回もまた、そうだった。
MY13から+25ps、パワーアップをはたしている。これを体感できるかどうか、もまた、試しておくべきポイントではあったのだけれども、正直にいうと、よく分からなかった。そもそも、実用域におけるトルク特性に変わりはないのだ。違うのは、トップエンドにおけるパフォーマンス。サーキットで試してはじめて、高回転域での伸びと強さが増したな、と思う程度である。こうなってくると、600ps→625psの実感というよりもむしろ、「馬力は625やで」と自慢して言えることの方が大事なのかも。ちなみに、600ps仕様のユーザーでも、正規輸入車であれば、625ps仕様に無料でアップグレードできる。
ナカミはクーペとまったく同じ、というのがマクラーレンの主張だったわけだけれども、なかには嬉しい“違い”もあった。それは、勇ましく聞こえる、エグゾーストノートだ。
もちろん、フェラーリのような“鳴き”はない。けれども、スポーツカーを意のままに走らせているぞ! という気分を盛り上げるに十分な“音”が、専用システムとオープンエアゆえに、ダイレクトに聞こえてきた。
もうひとつ、面白い趣向もある。それは、リアウィンドウが単独で下がること。所謂、カリフォルニアモードというわけだが、たとえば長いトンネルのなか、窓や屋根を開けなくても、ワイルドなサウンドを聞くことができる。スーパーカーは爆音が命! という方なら、絶対にスパイダーを選ぶべし、だ。