ゲームの価値を守りたい
ゲームの高い価値を認めてもらうことが重要であると提言した岩田社長。(イラスト 橋本モチチ)
任天堂の岩田社長は2011年の3月にサンフランシスコで行われたゲームデベロッパーズカンファレンスで、スマートフォンなどのプラットフォームで展開されるゲームに対して、自分たちはゲームの価値を守りたい、という趣旨の発言をしました。その時は、スマートフォンのゲームの質が低いと批判した、というような勘違いを受けましたが、その真意はユーザーにゲームの高い価値を認めてもらい相応のお金を払って貰える環境を維持したい、というものでした。
任天堂はパッケージのダウンロード版を販売するにあたり、パッケージに対する価格優位性を打ち出さず、ダウンロード版にはダウンロード版の高い価値があることをユーザーにどうやって伝えていくか、というところで試行錯誤を開始しました。そして今回どうぶつの森で、ゲームの価値を守っていきたいという宣言を実行に移し、1つの成功事例を作ったと言えるでしょう。
おそらく現時点において、どうぶつの森はかなりレアなケースで、20万本ものダウンロード版が売り切れることはそうそうないでしょう。どうぶつの森がきっかけで、価格優位性ではない、ダウンロード販売の価値を新たに創造することができるのか、それとも特別な事例として広がりを持たずに終わってしまうかは、今後の展開にかかっています。
しかし、ゲーム業界がオンライン販売に対してどういう姿勢で臨み、どんな未来を描くのか、その指針の1つとなる出来事であることは、間違いないと思います。
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