石川尚の「気になるデザイン」
『原点』こころのデザイン 日本の傑作椅子 写真集11
(引用:別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p61,商店建築社発行) |
直線と木の持つ趣と卓越した木工技術の結晶の椅子、ジョージ・ナカシマ「コノイドチェア」
キャンチレバー(片持ち)構造のジャープなラインが特徴のこの椅子は、一見る不安定だが、非常に強固な椅子である。
発表当初は同様に不安定な構造に批判が集中したときく。
傾斜する2本の背と脚、それに突き刺さる座、そして脚元。
とくに脚もとの接合部分は、卓越した木工技術なくしてはなりたたない。
この「コノイドチェア」、生まれは1590年。アメリカの家具デザイナー・建築家:ジョージ・ナカシマが建てたコノイド(円錐曲線)スタジオの為に自らデザインした椅子である。
ジョージ・ナカシマは日系アメリカ。
フランク・ロイド・ライトに伴って来日したアントニン・レーモンド建築事務所で日本建築黎明期の建築家:前川國男や吉村順三氏と机をならべ、建築に従事するが、その後「家具デザイン」に目覚めていく。
そのきっかけは、第二次世界大戦日系人収容所での日系人大工との出会い。木工技術を習得し、自らデザインし製作する、一貫した家具職人を生業とした。
素材と構造を活かした椅子、繊細な木工技術がなし得る椅子、そして空間に象徴的に存在する椅子……建築家であり、ディテールに繊細な日本人の血を引くナカシマの椅子は、木製椅子のスタンダードとなった。
■コノイドチェア(1959年)
・デザイン:ジョージ・ナカシマ
・製造/販売:桜製作所
・サイズ :W535 D570 H900 SH440
・素材 :ウォルナト材、ヒッコリー材(オイル仕上)
石川尚の気になる「デザイン」
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