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マンション管理会社が専有部分での困りごとやトラブルにまで対応する独自サービスを提供し始めている。

ここ数年、マンション管理会社の業務内容に変化が見られるようになりました。今般、居住者の居室内(専有部分)での困りごとやトラブルにまで対応するサービスを提供し始めています。

元来、管理会社が提供する管理サービスは「共用部分」を対象としています。管理組合と管理会社が契約を締結する際のひな形となる「マンション標準管理委託契約書」では、具体的に以下の4業務を管理会社の基本業務として挙げています。

<管理会社が管理組合に提供する基本4業務>
 (1)事務管理業務
 (2)管理員業務
 (3)清掃業務
 (4)建物・設備管理業務

(1)の事務管理業務とは、管理費や修繕積立金の出納ならびに収支の決算報告・予算案の作成といった会計全般に関する業務、また、理事会や総会の運営支援、さらに建物の維持・計画修繕についての企画立案や工事実施のサポートなど、管理運営の基幹となる業務です。

次に、(2)の管理員業務とはマンションに管理員を派遣し、受付や点検・報告連絡・立会いに携わってもらう業務です。そして、(4)の建物・設備管理業務とは、建物(屋上やエントランス・壁・共用廊下など)と附属施設(駐車場や駐輪場、ゴミ集積所など)、電気設備、消防設備、給排水設備などの目視点検や法定点検に関する業務を指します。すべて、マンションの共用部分を対象とした管理業務です。

今日、こうした4業務に加え、新たに「専有部分」を対象としたサービスを提供し始めています。居室内で発生したトラブルに専門スタッフが駆けつけるサービスや、育児・介護・健康などの相談に応じるサービス、さらに、ベビーシッターやハウスクリーニングといった家事を代行するサービスまで管理会社が請け負うようになっています。現状、限られた一部の管理会社が実施しているに過ぎませんが、私ガイドは大きな変化であると感じています。マンション管理という概念そのものを変えかねない動きに思えます。

こうした流れは決して「偶然」ではなく、「必然」であるとも、私ガイドは考えています。分譲マンション市場そのものが規模の縮小を余儀なくされるなか、管理会社とて安泰ではありません。危機意識を持つ管理会社が新たな収益機会を求め、専有部分サービスへと業務を拡大しています。要は生き残りを掛け、活路を見い出そうとしているわけです。そこで、本コラムでは管理会社が実施している専有部分サービスの実例を紹介し、併せて、後半では業容拡大を強いられるマンション管理業界の実態を解説します。

専有部サービスの3つの柱 「駆け付けサービス」「生活相談」「ライフサポート」 

今年9月、東京建物の系列管理会社である東京建物アメニティサポートがマンション専有部分への24時間生活支援サービスを開始しました。「ブリリア暮らしのホットライン」と名付けられた当該サービスには大きく3つのメニューが用意されており、(1)カギの紛失やガラスの破損、水回りや電気トラブルなどが発生した際に専門スタッフが駆けつける「緊急駆け付けサービス」、(2)家事代行に健康相談といった日々の暮らしの困りごとに対応する「ソフトサービス」、さらに(3)引越しや売却・賃貸などの不動産に関する相談に対応する「その他サービス」が管理委託契約を締結しているマンション居住者に提供されます。

偶然なのか、翌10月には東急コミュニティーも専有部サービスを刷新。すでに2009年から開始していた専有部サービス「家族力・プラス」の内容を見直し、利用回数の制限撤廃、一部の有償サービスの無料化、さらに年金や税金、育児、ペット、医療などに関する電話相談の無料受付も開始しました。

その他、大手では大京グループの大京アステージが「住まいの駆けつけサービス」や「生活サポートサービス」を提供しており、また、野村不動産グループの野村リビングサポートも2010年から専有部サービス「リビングQコール」を導入。利用者の満足度向上に努めています。こうした傾向は独立系の管理会社にも当てはまり、日本ハウズイングでは外部の運営会社と協力して、専有部サービス「安心快適生活」を受託管理組合の居住者に提供しています。

今後、こうしたサービスはさらなる広がりを見せるでしょう。マンション管理会社による“専有部サービス合戦”は、さらにエスカレートしていくに違いありません。
専有部サービスの主な内容

 

次ページでは専有部サービスが必要とされる社会背景、ならびに、マンション管理会社の業界動向についてお伝えします。