欠陥中古住宅の被害は火災保険NG、救済策は？(2ページ目)

建物検査と5年間の欠陥修繕保証がセットになった「既存住宅売買かし保険」

建てた時から時間が経過しており、どのような人がどのような使い方をしていたかが必ずしも明確でない中古住宅の購入は、難易度の高い取引だと思います。ですから、契約内容や過去の増改築、行われたメンテナンスの履歴などのチェックを念入りに行う必要があるでしょう。

そこで、良質な中古住宅購入のための制度として「既存住宅売買かし保険（以下、かし保険）」があります。これは、中古住宅の建物検査と購入後に見つかった欠陥の修繕がセットになったもので、買主ではなく住宅事業者が入る一種の賠償責任保険です。

加入にあたり、住宅事業者は販売する住宅の基本的な性能についての検査に合格していることが必要です。その住宅に購入後5年間で欠陥が見つかったら、補修費用などの保険金が住宅事業者に支払われることになり、買主は確実に欠陥部分の修理を受けられます。万が一、住宅事業者が倒産しても必要な修理費用は買主に支払われます。

対象となる欠陥はおおむね構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分、つまり住宅の基本構造部分などで、支払われる保険金は1000万円が上限（取扱保険法人により若干の違いあり）。かし保険を取り扱っているのは、国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社、住宅瑕疵担保責任保険法人で、2013年7月現在5法人があります。

住宅事業者でなく個人間で中古住宅を売買する場合にも、かし保険を利用することができます。この場合に保険の契約者となるのは、建物検査を行う検査事業者となります。

「中古マンション戸単位売買かし保険」も発売に

中古分譲マンションの戸単位かし保険も

中古住宅向けかし保険は、何も最近始まったわけではありません。しかしながら新築住宅と異なり任意加入ということもあって、それほど普及していないのが実情のようです。

また中古マンションでは、保険加入前の建物検査の際、戸単位の売買であっても専有部分のみならず共用部分の検査が必要となるため、多額の検査コストがかかることが普及の足かせでした。そこでこのたび共用部分の建物検査を簡素化し、検査コストを大幅に抑えた「中古マンション戸単位売買かし保険」も発売されました（2012年7月）。

中古住宅を終の棲家として購入する人も多いでしょう。一生住み続けられる性能を満たした住宅であるかどうかを、取り立てて知識があるわけではない売主自身が判断するのは現実的に難しいものです。専門家の力を借りる保険の仕組みを利用することは、より安心を得られる選択肢ではないでしょうか。

中古住宅取得にあたっては、建物検査および保険付きかどうかを住宅事業者に率直に聞いてみましょう。場合によっては地盤の調査なども念入りに行うことも必要です。

雨風が防げない構造に問題があるといった住宅の欠陥は、いうまでもなく私たちの暮らしに深刻なダメージを引き起こします。良質な住宅を手に入れることができれば、安心で快適であることはもちろんその住宅を売却するときにもメリットがあるはずです。自然災害も相次ぐ昨今、住宅の質が改めて問われる時代になっているのです。