「いとこ同志」はほぼオール打ち込み
ガイド:「ヌーヴェルヴァーグ」と言えば、1978年のムーンライダーズのアルバムタイトル『Nouvelle Vague』そのもので、その中でも岡田さんが作曲した「いとこ同志」は、僕の中ではその後のムーンライダーズを予見できる超テクノな曲。『架空映画音楽』では「Les Cousins」というタイトルでカヴァーされていますが、やはりこの曲は岡田さんにとって、思い入れの深い曲なのでしょうか?
岡田:
思い入れ深いかも(笑)。転調チューンとしても成功してるし(当社比)ね。意外と思うかもしれないけど、ほぼオール打ち込み(細野さんのスティールドラムとカシブチさんの手打ちキック以外)の唯一のライダーズ曲なんですよ。当時はMIDI登場前でプリプロもなしで(笑)。
松武さんにお願いしてMC8でデータを作ってもらいました。レコーディングの一週間前には譜面で欲しい、と松武さんからリクエスト。頭の中でフレーズ考えながら譜面におこしていきました。今では考えられない作業工程もイイ思い出ですね。
『架空映画音楽集II』にやってみようと思ったのは?
ガイド:『架空映画音楽集II』は岡田さんにとっても久しぶりのソロ、シリーズとしては24年ぶりに復活したテーマ。今回、もう一度このテーマに挑戦してみようと思った理由は?
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『架空映画音楽集』をリリースした当時、この手の音楽はジャンルが見当たらず、お店で相当座りの悪いモノだったようです。その後、年月を経てソロ作品の中では若い人々から架空が一番反響が多かったので、どこかのタイミングで続編のようなモノをやりたいと考えていました。何でもアリは性に合ってるしね(笑)。ずっと架空II用ということで、作りかけのデータは散らかったままあったわけ。渚氏とも何回かミーティングもしたし、でも延び延びになったまま月日は流れって感じ。で、2011年のライダーズの無期限休止を受けて、そろそろかなと。
ある日、フト曲ごとに違うユニット、ミュージシャンとコラボしてやったらオモロいんじゃないかと思いつき、あとは一気呵成にどどっとスタートしました(笑)。今度一緒にやろうと声をかけていた人、かけられていた人と楽しめるしね。様々な音楽スタイルも“架空映画音楽集”をかぶせればOKだしね。頭の中で鳴っている音楽をいろんなメンバーで楽しもうってね。