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ドラクエXがたった40万本でも大成功な理由(3ページ目)

2012年8月2日、Wii専用タイトルとして「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」が発売されました。気になる初週販売本数は約40万本。前作に当たる「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」は初週約230万本でしたから、かなり少なくなったように感じます。しかし、これでも大変な大成功を収めていると言うことができるのです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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発売1か月後からが勝負

WiiUの図

ドラクエXはWiiU版も発売予定です。そこからの盛り上がりというのも期待したいところですね。(イラスト 橋本モチチ)

ドラクエXはパッケージが6980円、ゲームをプレイするのに必要な16GBのUSBメモリ同梱版で8980円、サービスの利用料金が30日で1000円となっています。これから何年もサービスを行なっていき、利用料金で利益を回収するビジネスであることを考えれば、ドラクエIXの販売本数と比較してその是非を問うのがまるで意味のないことだと分かるかと思います。

ドラクエXのビジネスモデルを考えると2つのポイントがあります。1つは高いパッケージ料金。もう1つは、継続して遊んでもらって利用料金を回収することです。MMORPGには、とにかく無料で始められて、たくさんの人にオンラインに接続してもらい、その後いわゆるガチャと呼ばれるような懸賞方式のアイテム課金で一部のコアなユーザーから高額の収益を狙うモデルもあります。というよりも、そういったゲームの方が多いぐらいかもしれません。しかし、ドラクエXはガチャによるアイテム課金については予定していないと発表しています。

つまり、数千円するパッケージを一定以上の規模で購入してもらい、なおかつ多くの人に利用料金を支払ってでも遊び続けたいと思ってもらわなければこのビジネスは成立しません。

パッケージの販売に関しては、初週約40万本ということで、見事クリアしました。利用料金の方はというと、ドラクエXは購入してはじめてオンラインに接続すると、誰でも20日間は無料で遊ぶことができます。ですから、発売直後に遊んでいる人はみんな無課金で遊んでいることになります。これが20日経った後、どのくらい減るのか、あるいは減らないのかというところが大きなポイントとなります。

その為には、快適にプレイできる環境作りはもちろん、ゲームを盛り上げるクエスト配信やイベント、システムのアップデートを行なって、ユーザーの評価を高めていかなければいけません。モノを売るビジネスから、サービスを提供するビジネスになるわけです。

初週販売本数約40万本は、見事としかいいようのない最高のスタートでした。ここまでは、ドラクエという長年に渡って培ってきたブランド力が大きく力を発揮した結果だと思います。冒頭、オンラインゲームになって敬遠された、というような意見があるとご紹介しましたが、実際は逆で、ドラクエだからMMORPGにも関わらずここまで販売できたという状況でしょう。

この後1ヶ月程経って、多くのプレイヤーの無料期間が終わった時、今度は中身が問われることになります。その時も、ゲームが大変に盛り上がり、さすがドラクエという結果が待っていることを期待したいと思います。

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